高知県議会 > 2017-09-29 >
09月29日-04号

  • "農家収入"(/)
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  1. 高知県議会 2017-09-29
    09月29日-04号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成29年  9月 定例会(第341回)        平成29年9月29日(金曜日) 開議第4日-----------------------------------出席議員       1番  下村勝幸君       2番  野町雅樹君       3番  上田貢太郎君       4番  今城誠司君       5番  久保博道君       6番  田中 徹君       7番  土居 央君       8番  浜田豪太君       9番  横山文人君       10番  加藤 漠君       11番  坂本孝幸君       12番  西内 健君       13番  弘田兼一君       14番  明神健夫君       15番  依光晃一郎君       16番  梶原大介君       17番  桑名龍吾君       18番  武石利彦君       19番  三石文隆君       20番  浜田英宏君       21番  土森正典君       22番  西森雅和君       23番  黒岩正好君       24番  池脇純一君       25番  石井 孝君       26番  大野辰哉君       27番  橋本敏男君       28番  前田 強君       30番  上田周五君       31番  坂本茂雄君       32番  中内桂郎君       33番  金岡佳時君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       29番  高橋 徹君-----------------------------------説明のため出席した者  知事         尾崎正直君  副知事        岩城孝章君  総務部長       梶 元伸君  危機管理部長     酒井浩一君  健康政策部長     山本 治君  地域福祉部長     門田純一君             門田登志和君             松尾晋次君             樋口毅彦君  商工労働部長     中澤一眞君  観光振興部長     伊藤博明君  農業振興部長     笹岡貴文君             田所 実君  水産振興部長     谷脇 明君  土木部長       福田敬大君  会計管理者      中村智砂君  公営企業局長     井奥和男君  教育長        田村壮児君  人事委員長      秋元厚志君             金谷正文君  公安委員長      織田英正君  警察本部長      小柳誠二君  代表監査委員     植田 茂君             川村雅計君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       弘田 均君  事務局次長      西森達也君  議事課長       横田 聡君  政策調査課長     織田勝博君  議事課長補佐     飯田志保君  主幹         浜田百賀里君  主査         宮脇 涼君-----------------------------------議事日程(第4号)   平成29年9月29日午前10時開議第1 第19号 平成29年度高知県一般会計補正予算第2 第1号 平成29年度高知県一般会計補正予算 第2号 平成29年度高知県流域下水道事業特別会計補正予算 第3号 高知県青少年保護育成条例の一部を改正する条例議案 第4号 高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第5号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第6号 高知県立図書館設置条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県立図書館高知市立市民図書館の合築により整備する図書館の共通業務に係る連携協約に関する議案 第8号 高知県と高知市との間の高知県立図書館に係る事務の委託に関する議案 第9号 県有財産(教学機器)の取得に関する議案 第10号 県有財産(無線機)の取得に関する議案 第11号 国道195号防災・安全交付金(大栃橋上部工工事請負契約の締結に関する議案 第12号 国道493号道路災害関連小島トンネル工事請負契約の締結に関する議案 第13号 高吾地域拠点校体育館等新築主体工事請負契約の締結に関する議案 第14号 新図書館等複合施設建築主体工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第15号 県道の路線の認定に関する議案 第16号 県道の路線の変更に関する議案 第17号 平成28年度高知県電気事業会計処分利益剰余金の処分に関する議案 第18号 平成28年度高知県工業用水道事業会計処分利益剰余金の処分に関する議案 報第1号 平成28年度高知県一般会計歳入歳出決算 報第2号 平成28年度高知県収入証紙等管理特別会計歳入歳出決算 報第3号 平成28年度高知県給与等集中管理特別会計歳入歳出決算 報第4号 平成28年度高知県旅費集中管理特別会計歳入歳出決算 報第5号 平成28年度高知県用品等調達特別会計歳入歳出決算 報第6号 平成28年度高知県会計事務集中管理特別会計歳入歳出決算 報第7号 平成28年度高知県県債管理特別会計歳入歳出決算 報第8号 平成28年度高知県土地取得事業特別会計歳入歳出決算 報第9号 平成28年度高知県災害救助基金特別会計歳入歳出決算 報第10号 平成28年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算 報第11号 平成28年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第12号 平成28年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計歳入歳出決算 報第13号 平成28年度高知県農業改良資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第14号 平成28年度高知県県営林事業特別会計歳入歳出決算 報第15号 平成28年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第16号 平成28年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第17号 平成28年度高知県流域下水道事業特別会計歳入歳出決算 報第18号 平成28年度高知県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算 報第19号 平成28年度高知県高等学校等奨学金特別会計歳入歳出決算 報第20号 平成28年度高知県電気事業会計決算 報第21号 平成28年度高知県工業用水道事業会計決算 報第22号 平成28年度高知県病院事業会計決算第3 一般質問   (2人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(浜田英宏君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △議案の追加上程、提出者の説明、採決(第19号) ○議長(浜田英宏君) 直ちに日程に入ります。 御報告いたします。 知事から議案が追加提出されましたので、お手元にお配りいたしてあります。その提出書を書記に朗読させます。   (書記朗読)   〔提出書 巻末360ページに掲載〕 ○議長(浜田英宏君) 日程第1、第19号「平成29年度高知県一般会計補正予算」を議題といたします。 ただいま議題となりました議案に対する提出者の説明を求めます。 県知事尾崎正直君。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) ただいま追加提案いたしました議案について御説明申し上げます。 第19号議案は、昨日衆議院が解散されたことに伴い、第48回衆議院議員総選挙の執行管理等に要する経費につきまして、総額6億2,000万円余りの一般会計補正予算を追加しようとするものであります。 何とぞ御審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。 ○議長(浜田英宏君) お諮りいたします。 ただいま議題となっている議案については、質疑、委員会への付託、討論を省略し、直ちに採決することに御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(浜田英宏君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決しました。 これより採決に入ります。 第19号「平成29年度高知県一般会計補正予算」を採決いたします。 本議案を原案のとおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。   (賛成者起立) ○議長(浜田英宏君) 全員起立であります。よって、本議案は原案のとおり可決されました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(浜田英宏君) 次に、日程第2、第1号「平成29年度高知県一般会計補正予算」から第18号「平成28年度高知県工業用水道事業会計処分利益剰余金の処分に関する議案」まで及び報第1号「平成28年度高知県一般会計歳入歳出決算」から報第22号「平成28年度高知県病院事業会計決算」まで、以上40件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第3、一般質問をあわせて行います。 7番土居央君。   (7番土居央君登壇) ◆7番(土居央君) おはようございます。自由民主党の土居央でございます。質問の機会をいただきましてありがとうございます。 昨日、衆議院が解散され、総選挙へと向かうことになりました。国政は大きく動いておりますが、本県のやるべきこと、目指すべき方向に変わりはありません。地域に根っこを張って、地域に足のついた産業をどうやってつくっていくのか。経済の好循環を生み出すエンジンとなる、県民の安心につながる福祉をどうつくるのか。また、そうした環境を、中山間地域を含む県下全域にどう展開していくのか。 私は、安倍政権により生み出された、経済成長基調と政治の安定があってこそ、本県の産業振興計画などの施策も確かな成果を上げ、そしてこうした課題へ真正面から取り組むことができるものと思っております。 さて、本題に入りますが、今回は第3期産業振興計画ver.2で新たな展開を見せております、人材確保とその環境整備に向けた取り組みを中心に、幾つかの視点から質問をさせていただきます。 まず、魅力ある農村づくりと移住促進について質問します。 近年、半農半Xというライフスタイルが注目をされています。これは、京都府綾部市にUターン移住した塩見直紀さんという方が提唱してきたライフスタイルで、田舎で半自給的な小さな農業を行いつつ、自分の好きなことや才能を生かした活動を行いながら社会に貢献し、一定の生活費を得るという新しいライフスタイルです。こうしたスローライフが、収入が減少しても、心豊かな暮らしをしたいという都会の人たちから共感を集めています。特に20代から40代が関心を示していると言われています。 Xに当たる部分は人それぞれで、半農半ライター、半農半プログラマー、半農半職人、半農半保育士、半農半介護士など、さまざまなパターンがあるかと思います。現に塩見氏の著書には、半自給的な小さい農を営みながら、自分が大好きで心からやりたいと思うことをやっている人たちがたくさん紹介されており、例えば、高齢化が進む町で農業をしながらヘルパーの仕事をしている方は、ヘルパーが不足している過疎の町村では特に必要とされ、自分の好きなことが社会の役に立つと、生きがいと喜びを感じながら暮らしているそうです。また、得意な英語を生かし、映画の字幕翻訳の仕事をしながら、近所の子供たちに英語を教えている40代の方もいます。こうした都会の若者のライフスタイルの変化に、我が県の中山間地域は、最も魅力的な場を提供できるのではないかと考えています。 全国を見ますと、本県と同じく人口減少と過疎化に悩む島根県では、自営就農、雇用就農という就農形態に加えて、新たに半農半Xの支援体制を強化し、きめ細かいさまざまな助成事業を用意し、県と市町村が一体となってU・Iターン推進策の充実を図っております。本県としましても、市町村と連携し、半農半Xの推進に向けた支援体制を充実させるべきではないかと思います。 本県では、今後移住促進、人材確保の体制強化の一環として、各産業分野の人材ニーズをデータベースで一元化することにより、複数の仕事の組み合わせや半農半Xといった働き方についても提案をするとお聞きしておりますが、半農半Xの推進に向け、今後どのような施策の充実を図っていく考えか、尾崎知事にお聞きをいたします。 次に、半農半Xの条件整備として、農地取得条件の緩和について質問いたします。今、全国でさまざまな就農希望者の定住促進策が講じられておりますが、移住者の希望も多様化し、半農半Xや、さらにはそこにまで至らない程度の、家庭菜園程度の農地での農ある暮らしを求めて、田舎への移住を希望している人たちも増加しているようです。 こうした場合の課題となっているのが、農地の取得要件です。田舎にある空き家には付随農地がある場合が多く、土地、建物とあわせて農地を購入するためには、農地取得の要件を満たす必要があります。従来、農地法では、小規模農家がふえないよう、農地取得について下限面積を都府県で50アール以上と規定しておりますが、知事が認めた場合、10アールまでの範囲で引き下げが可能でした。しかし、2009年の法改正で、緩和権限が市町村農業委員会に移り、10アール以下での設定も可能となっています。 こうした背景を踏まえて、近年では各市町村が、就農を希望する移住者が家や農地を得やすくするために、農地取得の下限面積を大幅に緩和する動きが広がっております。例えば、兵庫県宍粟市1アール、大分県竹田市1アール、長野県飯山市2アールといったぐあいであります。一方、本県における最低下限面積は、佐川町などの10アールとなっております。長野県飯山市の事例では、昨年長野県が移住定住促進の目的で県内市町村の農業委員会に下限面積の見直しを要望し、県内の6市町村がこれに応じて下限面積の引き下げを実施しており、飯山市では県内最小の2アールまで引き下げております。 私は、農家の減少と耕作放棄地の増加、そして集落営農の組織化を推進する中で、新規の農地取得に係る下限面積の設定は、もはや現実的ではないのではないかと感じております。仮に、地域農業の維持に問題があるとの認識に立ったとしても、下限面積を緩和した多くの市町村がそうであるように、農用地区域以外の農地であるとか、空き家バンクに登録する空き家に付随する農地に限るとか、地域の現状に応じて一定の条件をつけることで、地域の利益が守られ、むしろ移住者の確保による利益のほうが大きいのではないかと考える次第です。 本県でも、半農半Xを提唱し、移住、定住を推進する上には、こうした農地取得に係る条件整備も必要になろうかと思いますが、県として、市町村農業委員会とコンセンサスを図りながら、農地取得の下限面積の見直しを進める考えはないか、農業振興部長にお聞きをいたします。 次に、移住促進のための条件整備として、インターネット環境についてお聞きいたします。移住を促進する上はもちろん、広く中山間地域活性化の課題でありますインターネット環境について、県は今年度、情報通信基盤整備事業費補助金を新設しました。その成果もあり、光ケーブル通信の全域未整備の大豊町、大川村、仁淀川町、三原村の4町村が整備計画を進めることで、ようやく2018年度に超高速で安定的にデータを送受信できる光ケーブル通信が、県内全市町村で整備が進められる見通しとなっております。 光通信網の整備は、民間事業者も行政もともに、世帯数の少ない中山間地域では採算面や費用対効果がネックとなっており、このたび市町村ベースでは100%になる見通しが立ったものの、地区ベースでは高知市鏡地区など未整備の地区も残っております。特に本県の中山間地域では、今後集落活動センターの機能強化やこうち型集落営農組織の多角化、中山間地域複合経営拠点の活動拡大、そして移住促進策の強化などを急ぐ中で、安定的な超高速通信の環境整備は不可欠な課題ではないかと思います。 そこで、県としては、市町村や地区住民、民間事業者との合意形成を図りつつ、さらなる整備に向けた取り組みを進めるべきと考えますが、総務部長の御所見をお聞きいたします。 また、Wi-Fi環境につきましては、今年度から総務省は、地方自治体に対し防災拠点や避難所、また公共施設へのWi-Fiの整備を促進するための補助制度を新設し、2020年度までに全国3万1,000カ所に設置する方針を掲げております。 このたびの光ケーブル基盤の整備見通しとあわせ、課題でありました高知県全域でのWi-Fi環境整備が大幅に加速できるものと期待いたしますが、県内での整備促進に向けた取り組みについて総務部長にお聞きをいたします。 次に、農家住宅政策の推進について質問いたします。人口減少、高齢化が急速に進展する全国の農山漁村において、若者や女性など多様な移住者を掘り起こし、次世代の農業後継者を含め、地域活性化を担う人材を確保することは非常に重要な課題となっています。このような中、農林水産省では、山本有二前農林水産大臣の強い意欲のもと、快適な住環境の整備が若者の定住化につながる事例に着目し、農村の魅力ある生活環境の整備に向けた農家住宅政策を打ち出しております。 本県でも、過疎化、高齢化による空き家、耕作放棄地の増加等の課題が顕在化する中、この政策の有効活用により、地域の持続的発展に不可欠である農業後継者や新規就農者、U・I・Jターンなどの移住希望者のニーズに合致した居住や生活環境の整備に対する支援を進めることができるものと期待をしております。 第3期産業振興計画では、新規就農者320人の確保を目標に、地域と一体となってさまざまな取り組みを強化しているところであり、平成28年度の新規就農者は過去最高の276人と、年々増加してきております。しかし、新規就農者の数をふやすこと自体が目的ではなく、地域の担い手としての定着と定住により、さらなる地域活性化につなげることこそが大事であり、そういった点からも新規就農者の住宅の確保対策は非常に重要であると考えます。 農家住宅政策では、今年度、全国6カ所のモデル地区のうち、高知県では四万十町がモデル地区に指定され、空き家の再生とレンタル農地をセットしたまるごと再生農家住宅、若者のシェア文化を生かした農家住宅・農業機械・農地等のシェア農家住宅、多世代住宅と生活関連施設が密接に関連したコンパクト・ビレッジという3つのモデル構想を打ち出しました。 これから四万十町の仁井田地区、松葉川地区、立西地区の3地区で具体的な計画づくりをすると聞いておりますが、四万十町における農家住宅の構想実現に向けて、県としてどのように取り組んでいくのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 次に、鳥獣被害対策について質問いたします。高知県は、全国でも有害鳥獣専門の対策課を持つ数少ない県であり、国の助成事業である鳥獣被害防止総合対策交付金と県の野生鳥獣に強い県づくり事業費補助金を2本柱に、きめ細やかに対策の充実と加速化を図っておられるところであります。 農水省の資料によりますと、我が国の有害鳥獣の個体数の推定は、さまざまな取り組みにもかかわらず、この四半世紀で急増しております。高知県における個体数はわかりませんが、農作物被害額は2億円前後で推移しており、県内でも市町村別に被害の傾向が大きく異なっていることから、県内での被害対策の進捗度には差ができつつあるのではないかと懸念をしております。 有害鳥獣は一定広域で活動しており、対策エリアから非対策エリアへと移動していくことから、鳥獣被害対策の実効性を上げるためには、一定広域での取り組みが必要であり、そして被害状況の的確な把握と現行対策の妥当性の検討を通じた捕獲戦略、そしてそれを実行できる捕獲人材や技術などの質の面が非常に重要だと言われております。 財源の柱である鳥獣被害防止総合対策交付金は、基本は市町村事業ですが、都道府県への支援も行っており、毎年都道府県事業として2,300万円を上限に、都道府県が実施する広域捕獲活動、新技術実証活動人材育成活動等取り組み予算として活用することができます。例えば長野県では、この2,300万円の都道府県事業を活用し、平成26年度からハンター養成学校を開校し、組織的に狩猟人材の育成に活用しているとお聞きいたしました。 この都道府県事業を高知県では余り活用されていないようにお聞きをいたしますが、高知県でも、広域捕獲活動、新技術実証活動、人材育成のさらなる推進に向けて、都道府県事業をもっと有効活用するべきではないかと考えます。中山間振興・交通部長の見解をお聞きいたします。 次に、有害鳥獣の捕獲における課題の一つに、毎年大量に捕獲される個体の処理の問題があります。現在、捕獲した個体の多くが埋設処理されていることから、捕獲した個体のジビエ等への有効活用を図る取り組みが進められております。 また、ジビエとして活用できる部位以外も、ペットフードや肉骨粉などへの利活用が期待されております。この部分は、天然で低価格で栄養もあり、かつ高い品質管理も求められないということで、他県ではペットフード業者からのアプローチもあるようにお聞きしております。また、肉骨粉についても、イノシシがBSEにかからないことが証明されたことで、昨年規制緩和をされましたので、餌としてのイノシシ肉の利用が可能となっております。ペット市場の拡大に伴い、今後の利活用の促進が期待できるのではないかと思っております。 そこで、本県として、有害鳥獣をペットフードや肉骨粉などとして利活用を図る仕組みづくりを進めるべきと思いますが、中山間振興・交通部長の見解をお聞きいたします。 次に、農業振興策をお聞きいたします。 まず、米政策です。近年、味や名称にこだわった米の新銘柄、いわゆる御当地米が全国各地で続々と誕生しています。来年の国の生産調整廃止を見据え、消費量と米価が低迷する中でも高価格帯で販売し、農家収入を確保する狙いがあるようです。全国ブランドのコシヒカリや秋田県のあきたこまちなどは有名ですが、近年は北海道のゆめぴりか、山形県のつや姫など、明確な生産・販売戦略を持った銘柄が続々市場に投入され、既存の有名ブランドをも脅かすようになってきております。 高知県では、一年を通して高温多雨、そして全国一の日照時間を誇り、その特徴を生かした有利販売を図るため、日本一の早期栽培を推進してまいりました。近年、高知県のお米は、お米日本一コンテストや米・食味分析鑑定コンクールといった全国・世界規模での大会で優勝するなど、徐々に評価を上げてきています。 そのような中、この6月、県が開発した極わせ米、高育76号が、県の奨励品種に採用されました。この高育76号は、高温に強いふさおとめと食味のよいコシヒカリをかけ合わせ、平成15年から14年間をかけて高知県が独自に開発した期待の新品種です。これまでの栽培実証試験によりほぼデータも集まり、7月中に収穫可能な極わせ品種であることや、外観品質、収量性、コシヒカリ並みの食味など、全てにすぐれた特徴を持つことが示され、来年度から本格的な普及を図ることとされています。 現在、高知県産米は、基本的には7月下旬の南国そだちから、ナツヒカリ、コシヒカリ、そして普通期米のヒノヒカリへのリレー出荷をしておりますが、この期待の新品種高育76号を、それら既存の品種との差別化を図りつつ、いかに高品質化し、いかに早期化し、そして販売促進につなげていくかが重要になってくると思います。 例えばことし、他県では、独自銘柄いちほまれを投入した福井県は、最高級の魚沼産コシヒカリより上を目指すと自信を見せ、県と地元JAグループが2億8,000万円もの破格のPR費を投じる計画だとお聞きをしています。高知県でも、高育76号について、農業団体とも連携しつつ、しっかりと目標を定めた中での生産振興戦略と販売戦略を描いていかなければならないと考えます。 そこで、高育76号に対する期待と今後の展望について尾崎知事にお聞きをいたします。 次に、減反政策終了後の対応についてお聞きします。来年から国の生産数量目標がなくなるに当たり、1970年に始まり、約半世紀にわたり続いてきた米の減反政策が終了を迎えます。国の米政策は大きな転換点を迎えることになりますが、その後、国は、生産数量目標ではなく、全国や産地ごとの需給動向などの情報を提供するにとどめることになり、産地の生産者や農業団体はそうした情報をもとに、適切な生産量や転作などの計画を自主的に決める方式に移行することになります。 これにより、農業者の経営の自由度が拡大をする一方で、農業者みずからが需要に応じた生産ができなかった場合、過剰生産により米価が下落し、農業経営の悪化につながる可能性があることを県も指摘しております。 こうした懸念を踏まえ、県としても、現状では破格の補助金に守られた飼料用米やその他高収益作物への転作を進めることはもちろんとして、主食用米については、県独自に生産数量目標を示すのか、農業者の自由に委ねるのか、そして県として米政策をどのように進めていくのか、来年以降に向けた県の米戦略を農業振興部長にお聞きいたします。 次に、県産農産物の需要拡大のための高鮮度輸送技術の課題についてお聞きいたします。私は、2年前の9月議会で、高知県農産物の需要拡大のための高鮮度輸送の課題について、本県青果物の競争力向上に大きく貢献してきたパーシャルシール包装の特許期限の終了に向けた、新たな鮮度保持技術の開発と活用について質問をさせていただきました。 御答弁をいただきましたように、パーシャルシール包装の商標を取得していることと、他県にない高知県園芸連の一元集出荷によるコールドチェーン体制のもとで、より高い鮮度保持効果を発揮していること、また農業技術センターが中心となり、民間企業とも連携を図りながら、さまざまな鮮度保持にかかわる技術開発に取り組んでいることで、本県の優位性が直ちに失われることはないと思いますが、年々他県との産地間競争が激しさを増す中、特許期限も約1年に迫り、現場からは不安の声も聞こえてまいります。また、本県は、第3期産業振興計画で農業分野の成長戦略として、卸売市場との連携による農産物や食料品輸出の販路拡大を掲げております。したがいまして、国の内外を問わず、農産物需要のフロンティアを拡大し、かつ本県の農業振興と競争力を維持していくためには、鮮度保持技術の有効活用、特にパーシャルシール包装のような独自の特許技術の取得が望ましいと考えます。 そこで、これまでの技術研究により、どのような成果があったのか、またその研究成果の現場における実装と普及にどう取り組まれておるのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 次に、産業振興と人材確保策といたしまして、首都圏人材ネットワークと首都圏の優秀なIT人材の誘致について質問いたします。 高知県は、インターネット環境があれば、地理的条件に左右されることがなく、また若者に人気の高いコンテンツ産業の振興と集積を産業振興計画の成長戦略に位置づけ、コンテンツ系企業の誘致や新たな起業への支援、またIT人材の確保・育成などに力を入れています。特に企業立地に関しましては、手厚いコンテンツ関連企業立地助成制度を活用した誘致活動が成果を上げ、順調に産業振興計画の目標をクリアしています。しかしながら、企業がその地域でよい人材を確保できなければ、事業継続と拡大は難しく、コンテンツ産業の振興と集積は人材の確保いかんにより大きく左右されるとお聞きしております。 そこで、今後本県での新たなコンテンツ企業の立地促進や拡大再生産の実現には、IT人材の確保と育成が大きな課題となろうかと思いますが、本県は、今年度から首都圏人材ネットワークの構築に新たに取り組むとともに、土佐MBAでのアプリ開発人材育成講座を充実することにより、県内外のIT人材の確保と育成を強化しているものと認識しております。特に、首都圏人材ネットワークの構築により目指すべき最大の成果として、高知県出身IT人材のUターンはもちろん、広く首都圏の優秀なIT技術者やクリエーターなどの移住や、あるいは本県での起業につなげていけるのではないかと期待を感じています。 ただ、全国レベルでのIT人材の人材獲得競争が激しくなる中で、優秀な人材を確保することにより、高知県内でコンテンツ産業クラスターの形成を実現するためには、IT人材にとって本県がキャリアアップやスキルアップを実現しながら豊かな生活を楽しむことができる魅力的な地域であることをPRするとともに、実際にそれができる環境や組織体制を整備していくことが必要と考えます。 こうした点を踏まえ、県は、首都圏人材ネットワークを活用し、どのような目標と取り組みで首都圏IT人材を獲得し、高知への移住を促進していくのか、また今後のネットワークの充実に向けた取り組みについて尾崎知事にお聞きをいたします。 次に、県外大学生のUターン促進策について質問いたします。高知県は、現在統計史上初めて年間を通じて有効求人倍率が1倍を超え、完全雇用の状態にあるものの、各方面で人手不足が進行しています。そこで、第3期産業振興計画ver.2では、持続的な拡大再生産の好循環に向けたさらなる地産強化のため、人材の確保策の強化をポイントに掲げて、高校生、大学生の県内就職の促進策も、その柱の一つとして取り組んでおります。 高知県における新規大卒者の求人倍率は、平成26年度の8.43倍から平成28年度は17.09倍に倍増しておりますが、県外企業からの求人活動も活発であり、平成28年度の求人件数は、県内企業が1,521件に対し、県外企業は2万1,396件もあります。その結果、県内大学生の県内就職率は35.8%、県出身県外大学生に至っては16.4%しかありません。県は、この県外大学生の県内就職率を平成31年度に30%まで引き上げることを目標に、県外大学の3年生をターゲットに定め、就活準備セミナーの強化などに取り組んでおります。 私は長期的視点から、こうした学生のUターン施策の実効性を上げていくためにも、県が主催して、県出身学生の学生版高知県人会を組織してはどうかと考えています。 セミナーは一過性で終わりますが、県人会は、学生から見れば4年間の継続性もあり、県出身学生同士の年代を超えた交流はもちろん、県東京事務所などに事務局を置くことで、ふるさととのつながりの維持や地元情報を得る場としても機能させることができると思いますし、そうした活動が、早い段階からのUターン人材の掘り起こしにつながるのではないかと期待しています。さらに、就活セミナーとの相乗効果も期待でき、県外学生の県内就職促進に有効な仕組みとなるのではないかと考えますが、商工労働部長に見解をお聞きいたします。 次に、保育士のキャリアパスの構築と処遇改善についてお聞きします。 本県では、福祉人材の確保と質の向上が大きな課題であり、その対策が急務となっています。保育士につきまして、日本保育協会による調査報告では、90%の新任保育士が、子供が大好きで、保育士になることが夢で、希望を持って保育所に就職する一方で、20%が2年以内で離職し、半分の50%が6年以内に離職している実態が示され、今後保育士の確保が困難になっていく中で、早期離職を防ぎ、長期間勤務ができる環境を整備するためには、その業務に見合った報酬や地位が保障されることと、保育士自身の保育の質の向上のためのキャリア形成など、保育士にとって保育所が魅力的で働きやすい職場環境の整備が必要であり、そのためにキャリアパスを考慮した処遇システムが有効だとの分析をされております。 現在、保育士の処遇は、原則として各施設に委ねられており、また保育所には、一般企業のような営業職や部長、課長、係長といった細かな役職がなく、キャリアアップに統一的基準がありません。したがいまして、昇進を目指すとしても、狭き門の上、長期間勤務し、研修を受けスキルアップに努めても、なかなかキャリアモデルが見えてこないことから、将来の目標を定めがたく、それによるモチベーションの低下が早期離職につながっているとの指摘がされております。 そこで、国は、保育士の平均経験年数や賃金改善、キャリアアップの取り組みに応じた、これまでの人件費加算に加え、新たに今年度から、技能、経験を積んだ職員に係る新たな処遇改善加算を追加し、キャリアパスと研修体系を有効に活用した保育人材の確保及び資質の向上を図りつつ、保育士が長く働くことができる環境づくりに向けた処遇改善策を制度化しています。これにより、キャリアアップにつながるスキルを磨くという、やりがいや将来の夢の実現など、保育士がモチベーションを維持し、希望を持って働ける環境づくりが進むものと期待をしています。 ただし、処遇改善等加算は申請主義でありますし、また条件として県が実施するキャリアアップ研修の受講が必要であります。また、事業所としても、業務多忙の中、職位体系、給与体系、勤務体制、研修体制などについて確立する必要もあり、新たな負担も生じてまいります。 こうした課題を踏まえて、県としては、処遇改善等加算を多くの事業者が取得し、保育士の処遇改善が図られますよう、しっかりと支援していく必要があると思いますが、県はどのように取り組まれるのか、教育長にお聞きいたします。 また、この制度の中では、例えば出産や育児で保育現場を一旦離れた保育士が現場復帰に当たり、離職前の職位や給与水準が下がらないように、身につけた技能、研修を修了証書等で明確化することとなっており、人材確保においても有効であると考えますが、教育長の見解をお聞きいたします。 最後に、医療的ケア児の保育体制の整備について質問いたします。 高知県では、日本一の健康長寿県構想を策定し、県民の皆様が住みなれた地域で安心して、ともに支え合いながら生き生きと暮らすことができる高知型福祉の実現を目指しております。障害のある子供たちにつきましては、障害福祉計画により、できるだけ早い時期から専門的な療育支援を受けられる体制整備などの課題に重点的に取り組み、あわせて可能な限り障害のない子供と同じような一般施策としての子育て支援の中で、支援が受けられるような体制づくりも目指しておられることと認識しております。 医療的ケア児とは、胃に穴をあけてチューブで栄養を摂取する胃ろうやたんの吸引、人工呼吸器の装着などが必要な子供たちのことで、医療技術の進歩で新生児が救命される確率が高まったことで増加しています。しかしながら、受け入れ体制が十分でない実態も指摘されるところでありまして、2015年度の厚労省の調査では、ゼロ歳から5歳の医療的ケア児がいる家庭で、保育所や幼稚園を利用できた割合は20.6%にすぎません。また、障害児の通所事業所のうち、医療的ケアを提供しているのは1割ないし2割程度にとどまり、また保育所での受け入れ状況につきましては、全国でも260カ所、303人にすぎず、8県ではゼロ対応となっております。こうした実態を踏まえ、厚労省は今年度からモデル事業で、看護師の派遣や保育士の研修受講でかかる費用補助など体制づくりを進めるとしています。 自治体レベルでも、保育所での受け入れが最多の大阪府は、43保育所で49人を受け入れており、大阪市など少なくとも8市町が、看護師の配置費用を補助するなどしています。その他、全国の自治体でも、医療的ケア児を長時間預かる施設を開設したり、既存の保育所などに看護師を配置したりして、特別な支援が必要な子供が同年代の子供とともに成長できる環境の整備に取り組んでいるようです。 そこで、高知県における医療的ケア児の保育所での受け入れ状況とニーズについて県はどう把握しているのか、また今後の支援の充実に向けた取り組みについて教育長にお聞きをいたしまして、第1問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 土居議員の御質問にお答えをいたします。 まず、移住促進に関し、半農半Xの推進に向けて、今後どのような施策の充実を図っていくのかとのお尋ねがありました。 県の窓口を通じて移住していただいた方々の年代を見ますと、20代から40代のいわゆる子育て世代の方が8割以上を占めており、特に人口減少がより深刻な中山間地域において、地域を支える人材として、こうした若者の移住に期待が高まっているところであります。私も、中山間地域こそ本県の強みの源泉と思っておりまして、地域地域に人材を呼び込める仕組みをしっかりと構築することが、ますます重要になってくるものと考えております。 中山間地域には、1次産業はもとより、建設業や福祉分野などの仕事はありますが、特に先ほど述べた若い方々の場合、収入面の不安などから、移住を決断するまでには至らないといった場合も見受けられます。そうした不安を払拭するためには、半農半Xという形も含め、年間を通じて一定の収入が得られるような複数の仕事の組み合わせや、自然環境に恵まれた中山間地域での豊かなライフスタイルなどを具体的に提案することも必要だと考えております。 今回、全ての市町村や各産業団体などに社員として参画していただき、まさにオール高知の体制として立ち上げた一般社団法人高知県移住促進・人材確保センターでは、現在事業承継・人材確保センターやハローワーク、福祉人材センターなどが持っている6,000件を超える求人情報のほか、地域地域で掘り起こす1次産業系の人材ニーズなどを一元的に集約し、全国に発信していくこととしております。 さらには、半農半Xにはさまざまなパターンが考えられますので、こうして集約した数多くの人材ニーズをもとに多様な仕事の組み合わせをつくり、住まいや生活環境などに関する情報なども含めて、オール高知の体制のもと、移住希望者のニーズに寄り添った移住プランを、これまで以上にアクティブに提案していくことで、移住に向けた後押しをしてまいりたいと、そのように考えているところです。 また、1次産業分野では、半農半Xを希望する方も活用できる、研修期間中や就業開始時の支援制度もあります。例えば、農業分野では、農業担い手育成センターでの技術習得、高知県新規就農推進事業費補助金、林業分野では高知県立林業学校での技術習得、漁業分野では高知県新規漁業就業者支援事業、このような支援策が就業前には講じられることとなっております。また、就業後につきましても、例えば、農業では園芸用ハウス整備事業でありますとか、漁業では漁船導入支援事業ですとか、こういう支援策があるところであります。これらの支援制度を生かし、しっかりとサポートしてまいりますとともに、既に移住いただいた方々のお声も伺いながら、さらなる施策の充実について検討を進め、地域や産業の担い手の確保につなげてまいりたいと考えております。 次に、県が開発した高育76号に対する期待と今後の展望についてお尋ねがございました。 本県の米につきましては、昨年お米日本一コンテストで、土佐天空の郷にこまるが特別最高金賞を、また米・食味分析鑑定コンクールでは、仁井田米にこまると土佐岩戸米コシヒカリが金賞を受賞しております。これに加えて、米の食味ランキングにおいて、県西部のにこまるが本県で初めて特Aを獲得するなど、全国的にも高い評価を受けているところです。 こうした中、農業技術センターでは、早場米の品質向上とブランド化を目的に、全農こうちなどの意見を伺いながら、食味がよく、品質がすぐれる品種の開発に取り組み、このたび高育76号が、本年6月の審査会で、本県で栽培を推進する新たな奨励品種に採用されました。この高育76号は、極わせ品種としては収量が多く、また県外の卸業者への食味試験でも、食味や香り、光沢がコシヒカリと同等もしくはそれ以上との評価をいただいていることから、本県産早場米の評価が高まり、ブランド化につながるものと大いに期待をしているところであります。 来年度から本格的な栽培が始まりますが、他県産より有利に販売していくためには、高品質化や早期収穫による差別化が大変重要となってまいります。県といたしましては、県内各地での実証圃の設置や栽培講習会の開催により、この品種に適した栽培技術の向上と普及に取り組みながら、まずは収穫時期が重なるナツヒカリからの転換を進め、次にコシヒカリの品質向上が求められる地域への導入を図ることにより、平成35年度には現在のナツヒカリの栽培面積の約6倍に相当する1,000ヘクタールを目標に、生産拡大を進めてまいります。 販売面におきましては、8月に品種名を公募したところ、約2,000点の応募をいただくなど、高育76号に対する県民の皆様からの期待の大きさを感じております。この関心の高さを生かし、年度内に開催予定の命名式では、消費者や県内ホテル・旅館などの実需者を招いての試食会を実施し、県内需要の喚起に努めてまいります。また、県内外の本県の米の取扱店に対して、これまで3回の試食宣伝を実施してきたところでありますが、来年の新米の収穫時からは、全農こうちなどと連携しながら、都市圏の大手量販店でのキャンペーン店舗数の拡大による新たな販路の開拓や、県内スーパーでの試食販売による消費拡大を図ってまいります。 こうした取り組みによりまして、早場米の底上げを図りつつ、平たん部の高育76号、コシヒカリから、中山間部のヒノヒカリ、にこまるにつながるリレー出荷とあわせて、これまで高い評価をいただいているブランド米との相乗効果によって、県産米全体の評価をさらに高め、地産外商の強化、稲作農家の所得向上と水田農業の活性化につなげてまいりたいと考えているところであります。 最後に、首都圏人材ネットワークを活用し、どのような目標や取り組みで人材の獲得や移住を促進していくのか、また今後のネットワークの充実に向けた取り組みについてお尋ねがございました。 県ではこれまで、企業誘致や企業間の連携による取引拡大の促進などにより、コンテンツ産業の振興に取り組んでまいりました。その結果、本県に立地したコンテンツ関連企業は累計で10件に及び、これによる新規雇用は本年7月末までの累計で約150名となっております。既に立地した企業の人材採用は今後も拡大が見込まれるとともに、今後新たに立地を予定している企業も出てきている状況にあり、複数の人材の確保がより重要な鍵となっております。 このため、今年度より、首都圏のIT・コンテンツ関連の人材や企業とのネットワークを構築する取り組みを、平成31年度末の登録者数300人を目標に進めております。このネットワークにおいては、登録いただいた会員を対象に、県内企業の求人や県主催の移住・就職イベントの情報の発信などに取り組むとともに、より多くのU・Iターン就職の実現に向けて、県内企業と人材との直接的なマッチングの場として定期的な交流会を開催することとしています。去る9月9日に東京で開催いたしました第1回交流会では、県内企業4社に事業内容などのPRや参加者との交流を行っていただきました。その結果、U・Iターンを希望する方と就職に向けた話し合いが行われたという事例も出てきております。 一方、交流会の参加者からは、地方で首都圏と遜色のない仕事をするためには、IT・コンテンツ関連の交流の場や学びの場の充実が必要との御意見をいただいたことから、今後こうした視点で、ネットワークのさらなる充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。 具体的には、フェイスブックなどの情報ツールを活用して、会員同士が情報共有や意見交換ができる仕組みを構築しますとともに、定期的な交流会に加えて、小規模な交流会や勉強会も開催していきたいと考えています。こうした取り組みを通じて、本県のIT・コンテンツ企業やそこでの就労環境のPRに努めるとともに、県内の企業等で組織するコンテンツビジネス起業研究会や民間のさまざまな勉強会の存在なども周知することによって、首都圏の人材に本県を選択していただけるように取り組んでまいりたいと考えております。 今後は、他県との人材獲得競争に打ち勝ち、県内にコンテンツ産業クラスターが形成できるよう、このネットワークの拡大を図りますとともに、土佐MBAを核に、企業や大学、専門学校などと連携した人材確保・育成の取り組みの大幅な充実強化についても検討してまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。   (農業振興部長笹岡貴文君登壇) ◎農業振興部長(笹岡貴文君) まず、農地取得の下限面積の見直しについてお尋ねがございました。 平場と比べ営農条件が劣ります中山間地域では、農業だけで十分な所得を確保することが難しいことから、いわゆる半農半Xを推進することは、地域の農業生産の維持及び移住の促進に有効な手法の一つとなると考えております。 一方で、農地は農業における重要な生産基盤であり、食料の安定的供給を図る上からも、優良な農地の保全と効率的な活用が求められておりますことから、その取得に際しては下限面積が設定されているところです。 この下限面積につきましては、農地法の規定により、原則として50アールとされているところですが、農業委員会が別に定めるところにより、これを10アールまで引き下げることができることとなっております。さらに、遊休農地があり、かつ周辺の農地利用に支障を生じるおそれがない場合に限り、10アール未満に引き下げることも可能となっております。この判断は、各市町村の農業委員会が行うこととされておりますことから、県としましては、これまでも説明会の場などにおきまして、市町村や農業委員会に対し、本制度の周知を図ってまいりました。 他方で、下限面積の引き下げによりまして、担い手への農地集積への支障が生じる可能性があることや、権利移転を前提とした投機目的の農地取得が行われることが懸念されることなどから、他県で引き下げを行った市町村におきましても、対象農地を地番単位で設定したり、空き家バンクに登録された空き家に隣接した農地に対象を限定するなどの対策を講じておるところでございます。 県としましては、今後とも制度の周知に取り組んでまいりますとともに、農地の保全や効率的な利用を十分考慮しつつ、移住の促進にもつながりますよう、他県の事例などもお示ししながら、市町村や農業委員会とともに勉強してまいりたいと考えております。 次に、四万十町における農家住宅の構想の実現に向けて、県としてどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 地域外からの新規就農者の受け入れといった担い手の確保や移住をさらに推進していくためには、地域地域で定住可能な住居を確保していくことが非常に重要であります。こうした中、国では、本年1月に農家住宅を含む魅力ある生活環境の整備に向けた取り組み方針を定め、そのモデル地区として、全国で四万十町を含む6地区が選定されました。モデル地区に選ばれました四万十町では、地域の住民代表の方や県の関係部署も参画した四万十町就農・定住促進協議会を立ち上げ、多世代の交流が盛んとなる四万十モデルの農家住宅の整備をコンセプトに、町内3地域で農家住宅も含めた地域づくり計画を策定することになっております。 現在、お話にございました3つのモデル構想をもとに、9月から地域の住民の方も参加したワークショップを開催し、地域地域に即した計画づくりを進めているところです。その際には、住宅建設業者などの専門家のアドバイスも受けながら、空き家の農家住宅としての活用も検討し、計画に盛り込むこととしております。また、町のPR動画の制作や移住相談会への参加、農業体験ツアーの開催など、就農・定住促進に向けた活動にも取り組んでいるところです。 この四万十町の取り組みはまだ始まったところであり、県といたしまして、まずは実効性のある計画の策定に向けて、話し合いの場でのコーディネートやアドバイス、国、県の支援策の情報提供などを行ってまいります。さらには、産地提案型の担い手確保対策や高知県移住促進・人材確保センターなど、県が進めております人材確保の施策群も積極的に活用して、将来にわたり若者が定着し、地域の活性化につながるよう、しっかりと支援してまいります。 次に、主食用米の生産数量目標と県の米政策についてお尋ねがございました。 国内の米需給の均衡を目的としまして、これまで国から示されてきました主食用米の生産数量目標は、農業者の経営の自由度を拡大させるという観点から、平成30年産からは国による提示が廃止されることとなっております。しかしながら、米の需給に関しましては、生産が過剰になった場合には、米価の下落による農業者の経営悪化を招くおそれがあるため、需給バランスのとれた生産を引き続き行っていくことが重要であると考えております。 こうしたことから、県では、平成30年産においては、国から示される全国ベースの主食用米の需要量を基礎として県全体の生産数量目標を算出し、これをもとに市町村ごとの生産数量目標の目安をお示しすることにより、県内の需要に応じた生産を進めてまいります。各市町村や地域においては、生産数量の目安に基づきまして、国の水田活用の直接支払交付金を最大限活用するなど、主食用米から飼料用米などの非主食用米や、生産性の高い園芸品目への転換を積極的に推進していただきたいと考えております。 また、こうした転作の取り組みに加えまして、主食用米につきましては、先ほどの知事の答弁にもございましたように、高育76号などのブランド化を進めますとともに、供給が不足しております外食産業向けの業務用米として、JAなどとも連携しながら、現在のナツヒカリから、さらに収量の多い品種への転換を進めてまいりたいと考えております。 最後に、鮮度保持技術に関しまして、これまでの技術研究の成果と現場における実装と普及についてお尋ねがございました。 本県が開発しました、代表的な鮮度保持技術であるパーシャルシール包装につきましては、低コストな鮮度保持技術として平成13年12月に特許登録しております。この技術は、鮮度保持効果が高いことから、市場や量販店から高く評価されており、例えば東京市場では、全国平均より、ニラで25%、小ネギで11%、高値で取引されている一因となっているものと考えております。 農業技術センターでは、新たな鮮度保持技術として、出荷用ポリ袋の表面に小さい穴をあけるパーシャル大袋包装法の開発に取り組み、これまでにニラ、ナバナ、アスパラガス、ブロッコリーで実用化されています。また現在、葉ニンニク、カイランサイ、ホウレンソウなど新たな品目への応用に取り組んでいるところです。さらに、昨年度からは、パーシャルシール包装に加え、ナス、ミョウガ、ユズなどを対象に、民間企業と共同で近赤外線の照射による鮮度保持と腐敗防止技術の実用化に取り組んでおります。この秋からは、主産地のJA出荷場において、実際の出荷工程に合わせた照射方法の検討を行いながら、早期の技術導入につなげてまいります。 議員のお話にもございましたように、パーシャルシール包装の特許は平成30年をもって終了いたします。しかしながら、この技術にとって最も重要なポイントであります、袋の接着部分の加工には、相当高度なノウハウが必要であるため、この技術が直ちに他県農産物に使用される可能性は低いと考えております。 県といたしましては、平成23年に取得したパーシャルシール包装の商標による知名度を生かした販売を継続しつつ、他県産に比べて本県の園芸青果物が市場で高く評価されますよう、さらなる鮮度保持技術の開発に取り組み、産地の強化、農家所得の向上につなげてまいります。   (総務部長梶元伸君登壇) ◎総務部長(梶元伸君) まず、光ケーブル通信網の整備に向けた取り組みについてお尋ねがございました。 議員御指摘のとおり、移住の促進や中山間地域の活性化のため、超高速ブロードバンド環境を整備する必要があると考えており、県単独の補助制度を設けるなどにより、その整備に取り組んできたところであります。 現在のところ、県内12市町村で未整備地域があります。このうち、4町村では全域が未整備地域となっておりますが、各町村で今年度または来年度から整備を進めていく予定であり、無線による整備とあわせまして、これらの町村では、おおむね全域で光回線またはLTE通信による高速でのインターネット利用が可能になります。 高知市を含む残る8市町村は、市町村の一部が未整備地域となっておりますが、このような市町村については、現在の整備状況や地域のニーズなどが市町村によって異なることから、市町村の実情に応じた個々の取り組みが必要になると考えておりまして、県としましては、各市町村に未整備地域における整備の必要性をお伝えした上で、十分に協議するとともに民間事業者とも調整し、未整備の世帯数の多い市町村を中心として、市町村ごとの具体的な整備方法や期間などに関する工程表を順次作成し、市町村と共有したいと考えております。 こうした工程表の作成と、その実行を通じ、超高速ブロードバンド環境の整備を着実に推進してまいります。 次に、Wi-Fiの整備促進に向けた取り組みについてお尋ねがございました。 移住者のためのWi-Fi環境を整備するためにも、先ほどの御質問にお答えしました、通信基盤となる超高速ブロードバンド環境の整備を着実に推進することが重要と考えております。その上で、お尋ねの無料Wi-Fiの環境につきましては、現在、外国人観光客の利便性の向上及び災害時における情報伝達手段の確保に向けた整備を推進しております。 このうち、まず外国人観光客の利便性向上につきましては、「志国高知 幕末維新博」の地域会場を有する市町村へのWi-Fi整備に対する県補助金による支援を行うほか、本県を訪れる外国人観光客が、無料Wi-Fiをストレスなく利用できるための仕組みづくりを官民連携で推進しているところでございます。 また、災害時における情報伝達手段の確保につきましては、災害時の拠点施設となる庁舎や、学校などの避難所での無料Wi-Fi環境の整備に取り組んでおりまして、議員のお話にもありました総務省の補助事業のほか、今年度から避難所におけるWi-Fi整備を対象にすることとされました緊急防災・減災事業債の活用などを、積極的に市町村に情報提供することにより推進しているところであります。これらを通じて、無料Wi-Fi環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。   (中山間振興・交通部長樋口毅彦君登壇) ◎中山間振興・交通部長(樋口毅彦君) まず、広域捕獲活動、新技術実証活動、人材育成のさらなる推進に向けて、国の鳥獣被害防止総合対策交付金の県事業を有効活用することについてお尋ねがありました。 鳥獣被害対策について、県ではこれまで、広域捕獲活動として、県内はもとより隣県とも協力して鹿の連携捕獲に取り組み、新技術実証活動として、森林地域での鹿捕獲研究や猿の捕獲技術研究を、また人材育成として、鳥獣被害対策地域リーダーの育成やわな猟捕獲技術講習会などを、国の交付金も一部活用しながら実施してきました。また、捕獲報償金制度の普及や報償金額の水準引き上げを働きかけるなどして、各市町村において必要な対策が行えるように支援してまいりました。これらの取り組みにより、被害額は平成24年度をピークに県内各地域で減少傾向になり、重点的に取り組んできた鹿対策では推定生息数が初めて減少傾向に転ずるなど、一定の成果が見られるようになったと考えております。 今年度におきましても、国の交付金を活用した県事業としまして、わな猟免許の新規取得につなげるための鹿捕獲体験ツアーや、未登録狩猟者の捕獲への参画を促進するためのわな製作講習会などの人材育成活動を実施することにしています。 交付金での県事業は、事業費の50%以上を委託ではなく県が直接実施することが要件となっており、多くの経費を要する事業への活用が難しいといった面もありますが、交付対象となる事業は引き続きしっかりと行っていく考えでありますので、次年度以降も可能な限り、この交付金を活用してまいりたいと考えております。 次に、有害鳥獣をペットフードや肉骨粉などとして利活用を図る仕組みづくりについてお尋ねがありました。 捕獲した鹿やイノシシなどをジビエやペットフードなどに有効活用することは、地域資源を生かした産業振興にとどまらず、結果としてさらなる捕獲のインセンティブにもつながるという好循環を生み出すものと考えております。このため県では、捕獲から解体加工、流通、消費といった川上から川下までの関係者で構成する、よさこいジビエ研究会を昨年度立ち上げ、食肉としてのジビエの普及はもとより、食肉以外への利用についても情報交換等を行ってまいりました。 このうち、ペットフードにつきましては、この研究会などを通じ関係者間で肉の供給についてのマッチングが図られ、犬猫用のペットフードを製造・販売する事業者が、鹿肉などを年間約1.2トン活用するなど先駆的な事例も出てきておりますので、今後もこうした取り組みを県内に広げていきたいと考えております。一方、肉骨粉など飼料としての活用につきましては、家畜飼料を所管する部署から、県内の家畜飼料製造業者に対して、イノシシ肉が利用可能となった今回の規制緩和についての周知を行っています。現在のところ、全国でも事例は少ないですが、解体処理施設で廃棄される部分を家禽の餌に活用し、廃棄物の処分コストを一部削減したという例があります。 飼料としての活用は、食用などに利用できない部分も資源として活用できるという点で望ましいことと考えますので、県としましても、事業化に向けて、どのような仕組みや方法が可能か、よさこいジビエ研究会のメンバーなど関係者から情報を収集し、研究してみたいと考えております。   (商工労働部長中澤一眞君登壇) ◎商工労働部長(中澤一眞君) 県出身学生の学生版高知県人会を組織してはどうかとのお尋ねがありました。 県外大学生のUターン就職の促進は、本県の各産業を支える人材を確保するために重要なテーマでありますので、県内企業への理解を深めてもらうためのセミナーの開催などを、これまで実施してまいりました。しかしながら、県内企業が新規大卒者を確保する環境は急激に厳しさを増してきているため、今年度はこれまでの取り組みをさらに強化して進めることとしております。 具体的には、まず多様な広報活動などを通じ、官民連携して県内就職を促進する機運を高めますとともに、より多くの学生やその保護者に県内就職及び県内企業の情報を届けるために、高知県Uターン就職サポートガイドの定期送付の登録者をふやす取り組みを進めております。そして、より多くの学生に県内企業への理解を深めてもらうため、本年度の後半に向けまして、企業経営者などから志ややりがいを伝えるセミナー等の機会を大幅にふやしたいと考えております。一方で、セミナーの開催案内など就職に関する情報を、県から直接届けることができる県外の大学生は、保護者がサポートガイドの定期送付を登録している学生でありますとか、就職支援協定を締結した大学の学生などにとどまっている現状がございます。 お話にありました学生版県人会は、大学の枠や学年を超えたネットワークの構築につながることで、セミナー開催などの県からの情報がより多くの学生に届きやすくなることが期待できますので、県外の学生に情報を伝える有効な手段の一つになる可能性があると考えます。大変参考になるよい御提案をいただきましたので、今後Uターン就職支援の取り組みをバージョンアップする中で検討してみたいと思いますが、やる気のある学生の集め方や事務局をどこが担うかなど進め方について課題もございますので、他県の取り組みも参考にしながら研究をしてまいります。   (教育長田村壮児君登壇) ◎教育長(田村壮児君) まず、処遇改善等加算を多くの事業者が取得し、保育士の処遇改善が図られるよう支援していくための取り組みについてお尋ねがございました。 議員のお話にありました処遇改善等加算は、従来から実施されておりました加算に加えて、今年度新たに創設されたものですが、その認定を受けることができる要件としましては、技能、経験を積んだ一定割合の職員が指定された研修を受講していること、また給与等の処遇面では、職員の職位の発令や給与体系が確立されるとともに、加算分の金額が適正に対象者に配分されていることなどがあります。 今年度は、職員が研修の受講をしなくても処遇改善等加算が受けられることとなっており、そうした条件のもとで、約半数の事業者が申請を行っております。残りの事業者については、研修の受講が要件となっていないにもかかわらず、来年度以降の研修の受講要件が未定であることや、仮に短期間での研修の受講が要件として求められた場合に必要な数の職員を送り出すことが困難であること、昇給などの支給対象者の選定が難しいことなどを理由に、申請を見送っております。 このため、研修の受講要件につきましては、来年度以降も受講しやすい要件に配慮していただくことで、処遇改善等加算の活用が可能となるように、他県と共同して国に意見を申し上げております。また、受講要件を満たすために、県が実施する研修につきましては、できるだけ参加しやすい研修となるよう、来年度からの実施に向けて取り組みを進めているところです。 事業者に対しましては、こうした状況について説明し、研修への参加について前向きに取り組み、処遇改善等加算の制度を積極的に活用していただくよう助言してまいりたいと考えております。 次に、保育士が身につけた技能や研修を修了証書などで明確化することは人材確保においても有効であると考えるが、所見を聞くとのお尋ねがございました。 今回の処遇改善等加算制度に伴い設けられた研修体系につきましては、保育士が昇進をしていくための資格要件が客観的に示され、かつ全国的に通用する仕組みとなっております。このことは、保育士のモチベーションを高めることにつながりますし、さまざまな理由により離職した保育士にとりましても、現場に復帰する際のインセンティブになるものと考えます。また、事業者としましては、保育士の技能や知識の取得状況が明確化されますので、必要な資質を備えた人材の確保がやりやすくなるといったメリットもあると考えております。 最後に、本県における医療的ケア児の保育所での受け入れ状況とニーズの把握、また今後の支援の充実に向けた取り組みについてお尋ねがございました。 この8月に地域福祉部が行いました調査によりますと、県内の就学前児童のうち、自宅において医療的ケアを受けている乳幼児、いわゆる医療的ケア児は40名であり、そのうちの3名が保育所を利用しております。現在、この3名以外の医療的ケア児につきましては、保育所への利用申請はなされておりませんが、保護者が就労するなどの生活環境の変化によっては保育所の利用が必要になる可能性もありますので、潜在的なニーズはあるものと考えております。 医療的ケア児を保育所で受け入れるためには、子供の状態に合わせた、たんの吸引などの医療的ケアを行う看護師等の配置や、集団保育の中で安心して過ごせる環境整備などの課題がございます。そのため県においては、特別な支援を必要とする乳幼児への加配保育士等の配置に対する支援制度を設けており、国においては本年度から、看護師等の配置に対する補助制度がモデル的に設けられております。また、地域福祉部では、医療的ケアを行う加配看護師等に対して、医療技術支援等を行う訪問看護師等を派遣する支援制度を創設しております。 今後も、このような医療的ケア児を受け入れる保育所などへの支援制度につきまして、市町村に対して周知を図り、医療的ケア児の受け入れ先となる保育所が広がるよう支援してまいります。 ◆7番(土居央君) 御答弁ありがとうございます。 まず、農地取得要件の緩和の問題でございますけれども、あくまで各地区の農業委員会が決めるということだと思いますが、県としても、情報の周知ということの御答弁がありました。伝わるように伝えるということが大変大事だと思いまして、そういった全国のいろんな事例、その地区の農地の不利益にならないような、そういう工夫の上、下限面積をほとんど全ての市町村は実施しているわけでありまして、どのような工夫をしたら、その地区の農地の利益が守られるかと、そういったことも含めた周知といったことに、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。 また、学生版県人会のことにつきましては、石川県のほうで大変先進的な取り組みがあるということをお聞きしておりまして、こういった全国の例も参考にしながら、制度を考えられたらどうかというふうに思っております。 あと、本当に十分な御答弁をいただけたと思いますので、2問は行いませんけれども、半農半Xといったときに、私は全く勝手に、一つ連想することがあります。それは一領具足ということであります。知っておられる方も多いと思いますけれども、この土佐を治めた戦国大名長宗我部家独特の半農半兵の住民組織の呼称でありまして、平時には農業をして、農閑期や有事には軍事的な作業によりまして領国運営を支えた、そういう組織であります。現在の半農半Xとは大分性質が異なりますけれども、半農半兵なわけでありまして、今の半農半Xは非常に多様性がありますので、極端な話、一領具足も半農半Xの一つの形と言えるのかもしれないと思います。 現代の半農半Xの人々は、スローライフで、非常に自分のペースで農ある暮らしを楽しんでおられるわけで、昔とは全く性質が違いますけれども、農プラスXということで、地域に土着して、地域に貢献をしてくれているという点では共通項もあるのではないかと思います。かつて、四国随一の勢力にまでなった長宗我部家を支えたこの制度、400年の時を超えまして、半農半Xといった人々が、人口減少に苦しむ高知の農村を支えてくれるときが再び来るんではないかと思っております。今後の施策展開に期待をいたしまして、私からの全質問といたします。ありがとうございます。(拍手) ○議長(浜田英宏君) 暫時休憩いたします。   午前11時19分休憩-----------------------------------   午後1時再開
    ○議長(浜田英宏君) 休憩前に引き続き会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(浜田英宏君) 御報告いたします。 第19号議案の可決に伴い、知事から第1号「平成29年度高知県一般会計補正予算」及び同補正予算とあわせて提出されました高知県議会定例会議案説明書について、訂正の申し出があり、その写しをお手元にお配りいたしてあります。この議案の整理については、議長において行いたいと存じますので、御了承願います。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(浜田英宏君) 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 9番横山文人君。   (9番横山文人君登壇) ◆9番(横山文人君) 自由民主党の横山文人です。議長のお許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。 初めに、地方創生についてお聞きします。 地方創生は、人口減少、少子高齢化が加速する中において第2次安倍政権で掲げられた、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯どめをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした一連の政策であり、本県は、課題解決先進県として全国に先駆け、平成27年に高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、高知県産業振興計画とリンクさせながら着実に成果を見せているところであります。 ことし5月に開かれた国と地方の協議の場において、地方創生のセカンドステージへ向けてと題し、東京一極集中の是正を初め地方創生に必要な財源の確保が地方6団体より要望されております。国では6月9日、まち・ひと・しごと創生基本方針2017を閣議決定し、ローカル・アベノミクスの一層の推進や地方創生版・三本の矢などが示されております。ことしの1月に内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局がまとめた地方創生事例集には、本県中山間対策の柱である集落活動センターの取り組みが挙げられております。 他方、政府の看板政策として打ち出された地方創生ですが、内外ともに目まぐるしく変容する政治情勢の中、相対的位置づけは低下しているようにも感じられ、石破茂元地方創生担当大臣は、国民運動としての盛り上がりが少し失速しているとも述べており、依然として厳しい現状にある地方にとっては、今後の実効性や本気度が危惧されるところであります。地方の再生なくして日本の未来はなく、知事御自身も、中山間地域の活性化なくして本県の活性はないとの強い信念を、常に発信されております。 そこで、これまでの国の地方創生政策についてどう評価し、またこれからどのような思いで取り組んでもらいたいか、知事にお聞きいたします。 また、知事は、御自身を初め県全体のネットワークを生かし、県外企業や団体などとの間で地方創生などに関する包括協定を積極的に進められ、これまで25の企業や団体との間で貴重な包括協定がなされております。 そこで、包括協定により、現在どのような取り組みが進んでいるのか、また今後どのような展開を図っていきたいのか、知事にお聞きいたします。 地方創生とは、その名が示すように、新しい人の流れと仕事を起こすことにより、地方を創生、すなわちつくり生み出すことを目指すわけでありますが、各自治体の取り組みは多岐にわたり、観光やスポーツ、文化教育、農林水産業などの第1次産業、またコンパクトシティーや小さな拠点づくりなど、地域地域の特性に沿った形で展開されています。 そこで、当然ながら、施策を企画立案し遂行するには財源が不可欠であり、新型交付金としての地方創生推進交付金が活用されています。これらの地方創生関連の交付金について、地方からは予算の拡充と弾力的な運用が求められており、全国知事会、地方6団体とも、その要望を連年行っております。さまざまな地域のアイデアや活動を結実させるには、自主財源の乏しい地方自治体では限りがあり、その観点から、交付金に関するさまざまな要望がなされております。 そこで、交付金の自由度を一層高め、地方においてより使い勝手のよい交付金となるよう、これらの地方創生交付金等に関する要望は反映されているのか、総務部長にお聞きします。 また、本県並びに県内市町村の交付金活用実績並びにどのような成果が上がっているのか、また交付金活用に課題があるとすればどのようなものか、関連して、今後の国への働きかけとはどのようなものか、総務部長にお聞きします。 地方創生関連の交付金には、ハードに用いることのできる地方創生拠点整備交付金が、平成28年度の補正予算にて900億円、事業費ベースで1,800億円計上されました。これは、従来のソフト面だけでなくハード面も支援するため創設されたものですが、この地方創生関連交付金におけるハード整備を、本県並びに県内市町村はいかに活用したのか、また今後の展開はどのようなものが考えられるのか、総務部長にお聞きします。 あわせて、拠点整備交付金の継続も重要と考えますが、御所見を総務部長にお聞きします。 また、地方創生関連交付金の中には、地域の道路ネットワークを支援する道整備事業があります。これは、地域における交通の円滑化及び産業の振興を図ることを目的とし、市町村版の総合戦略に基づいた地域の道路ネットワーク構築が対象となります。 このことから、中山間地域に要望の多い林道路網の整備にもこの事業を活用しているところであります。市町村施行の林道整備については、限られた予算の中、要望に十分応えられていないのが現状ですが、林道は、木材搬出のみならず地域の生活道としても利用されるなど、利用形態が多様であり、このことも相まって地元より要望の多い事業の一つでもあります。このような中、林道整備に当たっては、これまでの農山漁村地域整備交付金事業だけでなく、さまざまな財政支援制度を用いて整備している中で、地方創生道整備推進交付金の活用が行われております。 そこで、地元要望の強い林道整備を推進するため、地方創生道整備推進交付金を初めさまざまな財政支援制度を活用できるよう、県としてもさらに市町村をサポートすべきではないかと考えますが、御所見を林業振興・環境部長にお聞きします。 また、林道路網に関する道整備推進交付金の活用状況はどのようなものか、今後の展開はどうか、林業振興・環境部長にお聞きします。 先日、林道路網に関する協議会が開催されたとのことですが、林業活性化による地方創生と同時に、中山間の生活にとり重要な林道路網整備であることを鑑み、地元の声を積極的に反映していくべきと考えますが、御所見を林業振興・環境部長にお聞きします。 あわせて、協議会を実施しての手応えはどうだったか、林業振興・環境部長にお聞きします。 また、地方創生道整備推進交付金の林道に対する内示率が、平成25年の106.9%から徐々に下がり、平成29年は約4割減の65.8%に低下しております。これにいかに対応していくか、また事業の継続と予算の確保にどう取り組むのか、林業振興・環境部長にお聞きします。 また、地方創生の主眼である新しい人の流れをつくるためには、今や情報通信網の整備は必須であります。本県市町村においても、空白地の解消に向け取り組んでいるところでありますが、課題として残るのは、旧町村単位の整備、すなわち中山間地域への整備であります。いの町においても、市街地である旧伊野町は光ファイバー通信網が整備されていますが、旧吾北村、旧本川村は、全域が未整備となっております。情報格差は生活格差との住民の声もあり、先日さきの地域では、地区長初め有志が超高速ブロードバンド整備を求める運動を始めたと聞いております。一方、住民の少ない中山間地域において、整備には多額の予算を必要とすることから、さまざまな検討を要することも事実であります。 そこで、午前中の土居議員への御答弁で、超高速ブロードバンド整備に向けた取り組みをお聞きしましたが、中山間地域における超高速ブロードバンド未整備に対する御所見と市町村への支援の状況について総務部長にお聞きします。 次に、四国八十八景プロジェクトについてお聞きします。 現在、さらなる観光振興を期し、幕末維新博の開催や大型クルーズ船の寄港、国際観光や地域観光の振興に取り組んでおられます。ことしの3月4日にオープンした「志国高知 幕末維新博」のメーン会場である高知城歴史博物館には、夏休みが終わる8月末までに入場者が早くも12万6,000人となり、県内21カ所ある地域会場にも49万3,000人の観光客が訪れています。歴史を中心に、本県の食と自然、人の魅力を打ち出した博覧会の成果が出ているところであります。高知の経済にとって観光関連産業の比重は小さくなく、観光による景気拡大は高知県にとり、夢物語でなくなりつつあると、高知新聞コラムにて日銀高知支店長の言葉もあります。平成30年度までは現計画をしっかりと実施していくことで、より多くの観光客を本県に呼び込むことができると期待します。 そのように好調な観光振興の一方で、知事の提案説明にあったように、幕末維新博の後、すなわちポスト維新博の戦略を今から準備していくことが重要であると考えます。全国的には2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた準備が進められており、オリンピック・パラリンピックで訪日した観光客をいかに地方に呼んでくるか、それぞれの地域が知恵を絞っております。 そのような中、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、四国を訪れる観光客の増加を図るため、国土交通省四国地方整備局と四国運輸局が中心となって四国八十八景プロジェクトを進めており、これは、四国らしさを感じられるすばらしい景観を四国八十八景として選定し、その魅力を広くプロモートするというものであります。四国八十八景プロジェクトの狙いは、四国を訪れる観光客の増加を図るため、四国八十八景という四国ブランドの観光商品をつくることであり、四国各地の連携によりブランド価値を高めようというものであります。特に、新しい素材、景観の発掘と、プロジェクトで眺める場所、魅力のレベルアップがうたわれております。 現在、第2期応募箇所の調査が行われており、年度内に選定を行う予定と聞いております。高知県内からも多数応募がされており、例えば8月24日には、選定部会長の東京大学堀教授らによる仁淀川町中津渓谷の現地調査が行われたところであります。その模様はテレビのニュースでも取り上げられ、堀教授は、渓谷としての自然のすばらしさは日本でも一級、解説が弱いので、解説板の整備やベンチ等を置いて、眺める風景が誰にでもわかるようにすると、もっとよくなると、中津渓谷のポテンシャルの高さを評価したところであります。 一方で、中津渓谷は、地元の有志でつくる中津観光協会の皆さんが、手弁当で渓谷の清掃や整備、行楽シーズンのイベント管理を行っている状況で、町が支援する予算もわずかであります。他方、堀教授の言によれば、磨けば一級品になる観光資源が高知県内にはまだまだ埋もれているとのことであり、地元で細々とやっているからこそ発信力や解説力が弱いながらも、こうした四国各地の連携により四国ブランドの魅力アップを図り、四国を訪れる観光客の増加を図ることで、さらに本県を売り出す機会が創出されるのではないかと考えます。 そこで、中津渓谷を初めとする県内の隠れた名所が四国八十八景に選定されるよう、本県としても積極的に働きかけを行うべきではないかと考えますが、観光振興部長にお聞きします。 また、選定されるように、観光資源としての磨き上げに県がどのように取り組むのか、観光振興部長にお聞きします。 また、中津渓谷がなぜ隠れた名所だったのかを考えますと、そこまでのアクセス道路や駐車場が十分でないという、周辺整備の必要性も見えてきます。これは、同じく選定に応募しているいの町の吾北のにこ淵、本川の瓶ヶ森UFOラインも同様であります。中津渓谷の奥には吾川スカイパークもありますし、にこ淵の先にはグリーンパークほどのもあります。そのような周辺施設への波及効果も期待できることから、そこまでのアクセスを改善すれば、観光客誘致の相乗効果、波及効果も一層期待できると考えます。 そこで、四国八十八景プロジェクトを支援するため、周辺のインフラ整備を進めるべきではないかと考えますが、御所見を土木部長にお聞きします。 同時に、売り出し方、さきに述べたように、地元で小さく活動しているところが応募している事例が多いとも考えられますので、外貨を稼ぐ仕組みづくりも支援すべきではないかと考えますが、観光振興部長にお聞きします。 また、四国八十八景プロジェクトが本格的に始動した場合、本県としてどのように取り組んでいくのか、これまでの博覧会などの実績ともあわせて相乗効果が期待されますが、観光振興部長にお聞きします。 次に、県財政の中長期見通しと自治体財政についてお聞きします。 地方創生の推進とともに、持続可能な行政経営を続けるためには財政の健全化が不可欠であります。本県の経済状況は緩やかに回復しておりますが、そこで、県の財政運営における中長期推計について今後の見通しを総務部長にお聞きします。 また、平成35年までの県債残高もお示しいただきましたが、これまでの行財政改革の御努力により、平成12年の7,243億円をピークに着実に県債は減少し、将来負担比率は全国でも低位となっております。他方、ここ数年は県債残高の下げ幅が逓減してきていますが、今後、新図書館の建設や高知警察署の新増設、県立高校の再編に伴う新校舎の建設など、大型のハード整備も続く見込みであり、そのような中でも県債残高の減少は見込めるのか、御所見を総務部長にお聞きします。 また、先日発表された県内市町村の財政状況について、自治体の収入に対する借金返済額の割合を示す実質公債費比率が県平均で0.5ポイント低下するなど、県内市町村の財政状況は改善傾向にありますが、この要因と今後の見通しについて総務部長にお聞きします。 次に、地方交付税についてお聞きします。 本県の財政状況は順調に推移しておりますが、その財政運営は地方交付税など国の動向に大きく左右されることから、引き続き国へ積極的に働きかけていくことの必要性も述べられております。 経済財政運営と改革の基本方針2015では、交付団体を初め地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2018年度までにおいて、2015年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保すると閣議決定されており、これによれば2018年度までは問題はないということになります。ただ、裏を返せば2019年度以降はどうなるかわからないということでもあり、先日の地方のため込み論もその伏線ではと危惧するところであります。正確には、2019年度以降の地方交付税の水準いかんは、来年度の骨太方針にて決まると思われますが、経済財政諮問会議のメンバーからは、さまざまな歳出・歳入改革努力を2017年度以降も続けることで、2020年度の基礎的財政収支の赤字額を4兆円以上削減することが可能だとする見方が示されています。このさまざまな歳出・歳入改革努力の意味するところに地方交付税の削減が含まれるのであれば、大変な憂慮を覚えるものであります。 そこで、こうした議論が現実のものとなり、地方交付税が削減されれば、健全財政を続ける本県財政にどのような影響があるのか、また全国知事会や地方6団体による国への働きかけを一層強めていく必要があると思われますが、知事にお聞きいたします。 次に、児童の交通安全対策についてお聞きします。 先日、とさでん交通伊野商業前電停が新たに整備され、ニュースでも取り上げられました。これは、いの町是友・北内地区の児童が、毎朝電車に乗車する際、とさでん車両の構造上車道側からの乗り込みとなるため、大変危険な状態にあったことに加え、高知西バイパスが開通したことにより従来の交通渋滞が緩和される一方で、朝の通勤車両の速度が上がり、児童の危険性がますます大きくなっていたことへの対処であります。私も、地元の区長と一緒に要望に上がり、この危険な状況と抜本的な対策を訴えておりましたが、このたび新たに車道側からの乗り場が新設されました。これにより、長らく地区の懸案事項であった児童の交通安全対策が図られると同時に、毎朝手旗を持って児童を守っていた、子ども会や保護者の方々の悩みや負担も解消されることとなりました。大変ありがたく、土佐国道事務所初め、とさでん交通、関係各位に改めて感謝申し上げます。 他方、さきに述べた電車の構造上のことを考えれば、他の電停において児童の安全対策は確保されているのかと危惧するところであります。 そこで、通学時に電停を利用する児童の安全対策はどうなっているのか、土木部長にお聞きします。 ことし5月、大阪府門真市の通学路を乗用車が猛スピードで走る動画がインターネットのユーチューブに投稿されたことをめぐり、この車を運転していた19歳の少年ら2人が殺人未遂の疑いで逮捕されました。少年は、小中学生が邪魔なので思い知らせようと思ったと供述し、殺意については否認しているということですが、この事件は全国でも大々的に取り扱われ、大きな衝撃と多くの怒りの声が上がったことは記憶に新しいと思います。幸いにも被害者はおりませんでしたが、まさに大惨事の一歩手前であり、私も児童の親として強い憤りを感じた次第であります。 このような悪質な暴挙とはいかずとも、朝の通勤時間帯において、交通量の多い幹線道路を避け、住宅街を抜け道として走る車が登校児童に危険を及ぼしているとの声をお聞きしたことがあります。物理的な対策によって危険性を除去できたさきの電停新設とは異なり、人間であるドライバーが起こすヒューマンエラーから交通弱者である児童を守るためには、潜在的な危険性の除去が求められると考えます。 そこで、登下校における児童の交通事故の状況と通学路の交通安全対策とはどのようなものか、警察本部長にお聞きします。 事前に危険箇所の調査や点検をしているのであれば、どのような対応をとっているのか、警察本部長にお聞きします。 また、地元の学校関係者や保護者からの意見を取り入れたものになっているのか、警察本部長にお聞きします。 リスクアセスメントとは、建設現場や製造業における危険性、有害性を抽出し、その重大性を評価した上で、物理的、観念的に軽減を図るものでありますが、交通事故に対するリスク管理を考えたとき、ゾーン30の整備がそれに近いと感じます。 ゾーン30とは、生活道路における歩行者等の安全な通行を確保することを目的として、区域を定めて最高速度30キロメートルの速度規制を実施するとともに、その他の安全対策を必要に応じて組み合わせ、ゾーン内における速度抑制や、ゾーン内を抜け道として通行する行為の抑制等を図る生活道路対策とされており、高知県警においては、平成24年から平成28年までの5カ年で県内7地区、16地域を整備する計画であります。 自動車と歩行者が衝突した場合、自動車の速度が時速30キロメートルを超えると、歩行者の致死率が急激に上昇します。このため、生活道路を走行する自動車の速度を時速30キロメートル以下に抑制することとしたものがゾーン30であります。 生活道路が集まった区域に通学路があることは自明の理であることから、ゾーン30の整備は児童の交通安全対策にも有効と考えますが、警察本部長の御所見をお聞きします。 現在、ゾーン30の整備箇所としては、吾川郡いの町枝川を皮切りに、宿毛市桜町、高知市横浜新町、安芸市内学校周辺部、香南市みどり野団地、四万十市内の学校や病院周辺部となっております。 そこで、このゾーン30の整備に対する地元の方々の評価や保護者の声など、手応えはどうか、警察本部長にお聞きします。 また、整備に当たって事前の調査や地区住民との合意形成、その後の対応とはどのようなものか、警察本部長にお聞きします。 また、今後の整備はどのように考えているのか、また整備されていないが、危険性をはらんでいる住宅街や学校周辺、通学路に対してはどう対策を図るのか、警察本部長にお聞きします。 ゾーン30による交通安全対策は、事前に危険箇所を抽出し、重大性に鑑みて対策を行うリスクアセスメントの交通安全版として評価する次第であります。最も重要なことは、ドライバーに対してゾーン30の区域を認識させて、初めて危険性、重大性が軽減されるわけですが、どのようにドライバーに周知し、啓発を図っているのか、警察本部長にお聞きします。 次に、水防災意識社会の再構築についてお聞きします。 先月、国土交通省から、平成30年度水管理・国土保全局関係予算概算要求概要が示されました。これを見ると、再度災害防止対策の集中的な実施と水防災意識社会の再構築が、一丁目一番地とも言える冒頭に掲げられております。近年、時間雨量50ミリメートルを超える短時間強雨や、総雨量が数百ミリメートルから1,000ミリメートルを超えるような大雨が発生し、全国各地で毎年のように災害が発生しており、今後も大雨の頻発化、局地化、激甚化に伴う災害の発生が懸念されるところであります。 平成27年9月の関東・東北豪雨では、鬼怒川の下流部で堤防が決壊するなど、氾濫流による家屋の倒壊、流失や、広範囲かつ長期間の浸水が発生しました。また、避難のおくれも加わり、近年の水害では類を見ないほどの多数の孤立者が発生しました。これを受けて、平成27年12月10日に社会資本整備審議会の会長から国土交通大臣に対して、「大規模氾濫に対する減災のための治水対策のあり方について~社会意識の変革による「水防災意識社会」の再構築に向けて~」が答申されました。 その後、平成28年8月に相次いで発生した台風7号、11号、9号が北海道に上陸、また台風10号が暴風域を伴ったまま岩手県に上陸、27名のとうとい命が失われることとなりました。特に岩手県の高齢者利用施設では、利用者9名が避難行動をとれないまま犠牲となったのであります。この被害を踏まえ、平成29年1月11日に、社会資本整備審議会の会長から国土交通大臣に対して、中小河川等における水防災意識社会の再構築のあり方についてが答申されております。 そこで、このような、気候変動の影響とも言われる水害の頻発や激甚化を踏まえ、施設では防ぎ切れない大洪水が発生することを前提として、社会全体でこれに備える水防災意識社会を再構築するため、ハード・ソフト対策を一体的かつ計画的に進めるべきと考えますが、知事の御所見をお聞きします。 高知県においても、平成26年の台風12号、11号により、各地で浸水被害が発生しましたが、特に12号による仁淀川流域での浸水被害は甚大なものでありました。この台風では、県中部を中心に記録的な大雨となり、仁淀川支川の宇治川流域において床上浸水142戸、日下川流域において床上浸水109戸の浸水被害が発生しました。 これらの激甚な水害が発生した地域において、再度災害防止対策を集中的に実施するため、平成27年度に床上浸水対策特別緊急事業の採択を受け、ことしで3年目となりますが、その進捗状況について土木部長にお聞きします。 他方、このようなハード対策を進めるためには費用も時間もかかるため、対策完了前に集中豪雨に見舞われる可能性もあることから、まずは命を守ることを第一に考える必要があります。 災害対策基本法では、災害が発生し、または発生するおそれがある場合において、人の生命または身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、必要と認める地域の居住者等に対し、避難勧告や避難指示を出すことができるとなっております。 そこで、住民の命を守るためには、市町村長が避難勧告や避難指示を的確に出すことができるかどうかが重要となりますが、県としてどのような取り組みや支援を行っていくのか、危機管理部長にお聞きします。 また、全国的に見ると、市町村長が避難勧告や避難指示を出しても、実際の避難行動にはつながっていないという報道も見聞きします。ことし7月の中国地方での大雨においても、ある市では、避難指示対象者1万3,000人に対し、実際に避難したのは1,700人程度であったとのことであります。 そこで、これらの対策として、防災行政無線やエリアメールなどによる住民への連絡体制の強化も重要だと考えますが、県としてどのような取り組みや支援を行っていくのか、危機管理部長にお聞きします。 ことし7月の九州北部豪雨では、集中豪雨などに起因して、浸水被害に加えて土砂災害が発生するなどして甚大な被害となりました。このような土砂災害へ備えるため、砂防堰堤などを重点的に整備するとともに、警戒避難体制の充実強化に向け、基礎調査や土砂災害警戒区域などの指定を推進するなど、ハード・ソフト一体となった土砂災害対策も重要と考えますが、県内では住民の避難を促すため、どのような取り組みを進めているのか、土木部長にお聞きします。 そのような議論の中でぜひとも取り上げておきたいものが、各学校単位で行われている防災講習であります。ことし6月に仁淀川町立池川小学校において、仁淀川町こども防災キャンプin池川が開かれ、私も見学に行っておりました。南海トラフ地震はもとより、近年多発する大雨豪雨に対する知識や備えは、中山間地域において特に重要であります。このこども防災キャンプは、子供たちが家族とともに、いざという場合の対応方法を学習、体験することで、楽しみながら防災意識が身につく、授業形式の体験型防災教育であります。 当日は、県土木部防災砂防課の職員を初め、国土交通省や仁淀川町役場、PTAや地元消防団、婦人会の皆様も総出で、こども防災キャンプを企画、運営し、児童たちは、保護者と一緒になりながら、大雨豪雨が体感できる降雨体験装置や土石流3Dシアター、起震車などの体験物に加え、炊き出し訓練、消火訓練、南海トラフ地震学習、津波や土石流の映像学習など、さまざまな防災知識を学んでおりました。特に、県防災砂防課の土砂災害学習では、迫力ある土石流の映像を見たり、パワーポイントにて池川地区の土砂災害警戒区域を示したりする中、自身の家もその中に入っていることを知った子供たちは大変驚き、これから大雨が降ったら注意しようねと、親子で話していたことが印象的でありました。 また、池川小の学校通信によれば、起震車に乗ってみると、机にしがみつくだけで何もできなかった、私の家の後ろは崖になっているので、前ぶれをしっかり気をつけたい、非常用の持ち出し袋の準備や家具の固定などを家に帰って家族で話し合ったなどの感想が書かれていました。 このような、子供と保護者、また地域が一体となった防災意識向上への取り組みは、さきに述べた、水防災意識社会の再構築に合致するとともに、子供も親も一緒になって楽しく真剣に学びつつ、各家庭へ学習内容を持ち帰り、家族で共有することが期待できます。災害時には弱者となる子供たち自身への啓発と意識向上にもつながると考えます。 他方、一回きりの学習や訓練に終わるのではなく、地域に、家庭に根づく防災講習となってこそ、有事の際に対応が図れるものと考えます。 そこで、このような土砂災害に関する学校単位での防災教育について、地域地域の特性や災害履歴に応じた防災教育のあり方も求められると思うのですが、どう対処すべきか、御所見と今後の取り組みについて土木部長にお聞きします。 加えて、国土交通省が、水防災意識社会の考え方を他の災害にも拡大し、防災意識社会への転換を表明していることを受け、土砂災害に関するこのような防災教育をどう磨き上げ、また展開していくのか、土木部長にお聞きします。 次に、激減が伝えられる県内アユ資源の保護についてお聞きします。 清流四万十川や仁淀川のシンボルと言えば、美しく香り高いアユを想起する方も多いと思われます。他方、ことし5月の新聞報道によれば、県内のアユの漁獲量が激減しており、近年は140トン前後に低迷しているとのことであります。同時に、清流で釣りを楽しむ人も少なくなり、遊漁者数の減少により漁協の運営にも暗い影を落としかねません。 そこで、県内におけるアユ漁獲量の減少についてどのように認識しているのか、水産振興部長にお聞きします。 私も、地元の遊漁者の方に現状をお聞きしますと、確実にアユの数は減っており、背景には、近年の自然環境の変化も大きいとのことでありました。また、直接的に被害を引き起こすものとしては、放流された稚魚を捕食するカワウの存在があります。漁協やリバーキーパーの方々が追い払いなどの対策を実施していますが、近年の温暖化により幼鳥の越冬が容易となったため、天然アユ資源減少の大きな要因となっております。 そこで、カワウによるアユの食害を県としてどのように把握しているのか、また対策とはどのようなものか、水産振興部長にお聞きします。 また、外来魚による被害はどのようなもので、どれぐらいと認識しているのか、またその対策を水産振興部長にお聞きします。 特に、カワウ被害においては、関係行政、関係事業者を挙げた、総合的かつ広域的な対策と支援が必要と考えますが、御所見を水産振興部長にお聞きします。 最後に、障害者福祉についてお聞きします。 平成25年6月に成立し、平成28年4月より施行されている障害者差別解消法についてお聞きします。この法律は、国の行政機関及び地方自治体、また民間事業者に対し、不当な差別的対応を禁止した上で、国の行政機関及び地方自治体には合理的な配慮を義務づけたものであり、行政職員がどのように障害者と接すればいいかをまとめた対応要領の策定と、その窓口の設置が求められています。 そこで、県内自治体の策定状況と相談窓口の設置の状況について地域福祉部長にお聞きします。 また、策定、設置されていない自治体に対してどのように支援していくのか、地域福祉部長にお聞きします。 昨日、黒岩議員から質問がありました、共生社会の推進における一つのツールであるヘルプマークを、議場にて紹介させていただきます。(現物を示す)このヘルプマークとは、知的障害や聴覚障害など、外見ではわかりにくい障害のある人たちへの周囲の配慮や助けを促すことに加え、困り事や支援してもらいたいことを記載して持ち歩くことにより、見えない障害を見える化することが可能となります。2012年に東京都が作成したことが始まりで、公共交通の乗車支援やさまざまな公共施設での支援が期待されております。現在、全国の自治体で導入が加速化しているところであります。 このヘルプマークの導入、推進につきましては、今後全国的にも導入が進んでいくものと思われますことから、本県においてもぜひとも前向きに御検討いただきたいと、私からも強く要請させていただきますが、まだまだその認知度は低いと思います。 そこで、このヘルプマークを導入、推進するに当たっての課題があるとすれば、どういったことがあるのか、その対応も含めて地域福祉部長にお聞きしまして、私の第1問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 横山議員の御質問にお答えをいたします。 まず、国の地方創生政策に対する評価と、今後どのような思いで地方創生に取り組んでほしいかとのお尋ねがありました。 国の地方創生の推進につきましては、少子化、人口減少、地域の活性化という3つの問題を、初めて三位一体の問題として捉え、正面から取り組まれてきたものであり、民間企業も含めた地方創生の動きを生み出してきた大変重要な取り組みであります。 本県におきましては、全国に先駆けて直面した人口減少の負のスパイラルという困難な課題の克服に向け、産業振興計画や日本一の健康長寿県づくりなどの5つの基本政策と、中山間対策や少子化、女性の活躍の場の拡大といった横断的な2つの政策を全力で進めてまいりました。こうした政策をもとに、都道府県では最も早くまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、地方創生の取り組みを進めているところであります。その推進に当たっては、地方創生推進交付金等の国の支援策が取り組みの追い風となり、さらなる加速化も図られましたことから、大いに評価しているところであります。 しかしながら、国のまち・ひと・しごと創生基本方針2017で示されたように、現状では、我が国の人口減少に歯どめがかかるような状況にはなっておらず、人口移動の面では東京一極集中の傾向も続いております。このため、引き続き国と地方が創意工夫を凝らしながら、危機感を持って地方への新たな人の流れをつくり出していく必要があります。 私は、中山間地域の活性化なくして本県の活性化なしとの強い思いのもと、人口減少の負のスパイラルの克服に向けた挑戦を全力で続けております。国には、地方の創生なくして日本の創生なしとの強い思いのもと、こうした地方の挑戦を力強く、かつ息長く後押しをしていただくとともに、地方への新しい人の流れを生み出すよう、さらに取り組みを加速し続けていただきたいと考えており、全国知事会とも連携しながら、国に対して、引き続き積極的な政策提言を行ってまいります。 次に、包括協定により、現在どのような取り組みが進んでおり、今後どのような展開を図っていきたいのかとのお尋ねがありました。 県勢浮揚をなし遂げるためには、官民協働による取り組みが不可欠であり、県内はもとより、全国的なネットワークを構築することで、県外から多くの人材や知恵、資本を呼び込むことが重要であります。このため、本県の地方創生の取り組みに御賛同いただいた企業や団体の皆様方との協定締結を積極的に進めており、現在25の企業や団体と包括協定を結んでおります。これらの企業や団体の皆様との取り組みにつきましては、東京の本社ビルでの高知県物産展の開催や、企業の広報ツールを活用した本県観光情報のPR、さらに県産品を活用した商品の開発、販売など、産業振興や観光振興の取り組みが進んでおります。ほかにも、南海トラフ地震に備えた県内事業者のBCP策定に対する支援や、企業が保有するドローンを活用した罹災状況調査等の検討など、さまざまな取り組みが進んでいるところであります。 また、去る6月には、公益社団法人経済同友会及び土佐経済同友会の皆様との間で協定を締結し、CLTを核とした木材需要の拡大、中山間地域における企業と地域との交流ネットワークの強化、IoT活用による産業活性化に向けた研究の推進、人財及びビジネスマッチングの促進といった4つのテーマで取り組みを進めております。中でも、CLTを核とした木材需要の拡大につきましては、ハウスメーカーや大手総合建設業、設計会社、家具メーカーなど、さまざまな会員企業の皆様に参画をいただき、需要者側の視点に立った国産材の活用とCLTの普及に向けた検討を行っております。年度内には提言を取りまとめることとしており、今後CLTなど木材の活用が民間事業者にも拡大し、木材需要が大きく伸びていくことが期待をされます。 このように、さまざまな取り組みが具体的に動き始めているところであり、今後協定締結先とさらに連携を密にしながら、本県の抱えるさまざまな課題の解決に向けた官民協働の取り組みを、質・量ともに充実させるとともに、全国的なネットワークの拡大に向け、締結先も広げてまいりたいと考えております。 次に、地方交付税が削減されれば本県財政にどのような影響があるのか、また全国知事会や地方6団体による国への働きかけを一層強めていく必要があるのではないかとのお尋ねがございました。 本県の財政は、県税などの自主財源に乏しく、国庫補助金や地方交付税などの割合が大きい構造にあります。平成29年度について申しますと、地方交付税と臨時財政対策債を合わせて1,910億円余りの予算を計上しており、歳入全体に占める割合は4割を超えております。 仮に十分な税財源措置がとられることなく、地方交付税が一律に削減された場合、産業振興計画を初めとする地方創生の取り組みや、南海トラフ地震対策など災害への備え、さらには教育振興の取り組みといった、本県の重要施策の推進に多大な支障が生じるだけでなく、県民生活を支える基礎的な行政サービスを確保することさえも困難となりかねません。 地方交付税を含む地方の一般財源総額については、議員御指摘のとおり、平成30年度までは平成27年度と実質的に同水準を確保することとされておりますが、平成31年度以降にどの程度の規模になるのかは不透明であります。このため、これまでも県として国への政策提言を行い、十分な規模の地方一般財源を確保するよう求めてまいりました。また、全国知事会においては、本年7月に、地方税財源の確保・充実等に関する提言を取りまとめ、地方創生・人口減少対策のための財源確保、地方の安定的な財政運営に必要な地方一般財源総額の確保などについて、国への働きかけを行っているところです。さらには、全国都道府県議会議長会や全国市長会、全国町村会などとも連携し、地方6団体として、地方の安定的な財政運営の確保や地方交付税の財源保障機能の確保などを、国に対して求めているところであります。 今回の衆議院議員総選挙では、社会保障制度を全世代型へと大きく転換し、現役世代の子育て支援などを強化することが争点の一つになると思われます。こうした取り組みを進めるに当たっては、地方が担う役割はますます大きくなり、そのための財源として、地方の一般財源総額はむしろ増額する必要があるものと考えております。衆院選後は、この点についても国に訴えていく必要があると考えているところです。 今後も国の動向に注視しつつ、本県独自の政策提言を行うほか、他の地方公共団体とも連携し、全国知事会や、国と地方の協議の場などあらゆる機会を通じて、地方交付税を初めとする地方税財源を確保するよう、国に対して強く働きかけを行ってまいります。 最後に、社会全体で大洪水に備える水防災意識社会を再構築するため、ハード・ソフト対策を一体的かつ計画的に進めるべきではないかとのお尋ねがありました。 近年、全国各地で豪雨が頻発、激甚化し、多くの方々が犠牲となっていることから、大洪水が発生することを想定した対策を社会全体で進めていくことは、大変重要であると考えます。 昨年、国土交通省が管理する一級河川について、想定される最大規模の降雨における浸水想定区域図が公表され、県内においても、地域によっては10メートルを超える浸水深が予測されるなど、非常に厳しい内容が示されました。このような最悪の事態を想定したとき、まずは命を守ることを最優先にした避難計画を考えなければなりません。 このため、昨年5月、国が管理する四万十川、仁淀川、物部川の流域ごとに、国、県、市町村から成る協議会が設置されました。協議会では、命を守ることを目標とし、逃げおくれない、安全な場所に逃げるための取り組みとして、最悪を想定したハザードマップの作成と県民の皆様への周知、最悪を想定した避難行動計画の策定、市町村をまたぐ避難やその経路の設定などについて、関係機関が役割を分担して検討していくことを確認しました。さらに、本年2月、県が管理する全ての河川を対象に、県内6つの土木事務所ごとに協議会を設置し、同様の取り組みを始めたところです。 今後も、情報共有の強化や訓練の実施など、最悪の事態を想定した備えについて協議会でしっかりと議論を行い、国、市町村と連携し、県民の皆様の命を守る対策を進めてまいります。 私からは以上でございます。   (総務部長梶元伸君登壇) ◎総務部長(梶元伸君) まず、地方創生関連交付金に関する国への要望の反映状況についてお尋ねがございました。 平成26年度補正予算で、国が、地方創生先行型交付金を創設し、平成26年末にまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定して以降、全国知事会を初めとする地方6団体は、地方創生関連交付金に関し、当初予算に位置づけ、継続的な施策展開を図ることができるようにすること、ハード整備についても対象とすること、地方団体ごとの交付金額の上限などの要件を緩和することなどを求めてまいりました。 その結果、平成28年度当初予算で、地方創生推進交付金が創設されるとともに、ソフトと一体で整備する設備や備品などのハード整備も、事業費全体の2分の1までは対象とされました。さらに、平成29年度からは、1団体当たりの交付上限額が引き上げられるとともに、一定の要件を満たす場合には事業費全体の2分の1を超えたハードの整備が認められました。あわせまして、地方の施設整備に対するニーズにも応えるものとして、平成28年度補正予算では地方創生拠点整備交付金が措置されたところであります。 このように、地方創生関連交付金については、地方の意見などを踏まえ、順次見直しが行われてきているものと考えております。 次に、県及び県内市町村の交付金活用実績と成果、交付金活用に関する課題、今後の国への働きかけについてお尋ねがございました。 まず、交付金の活用実績については、後ほどお答えする地方創生拠点整備交付金についてのものを除きまして、県の事業では、平成28年度までに計50事業で28億1,000万円余り活用し、本年度は、新規の5事業について、全国で最も高額の4億2,000万円余りの交付決定を受け、継続分と合わせて、10事業で8億5,000万円余りの推進交付金を活用することとしております。 市町村の事業では、平成28年度までに全市町村で計343事業、32億1,000万円余り活用し、本年度は、新規の18事業について、こちらも全国トップクラスとなる2億5,000万円余りの交付決定を受け、継続分と合わせて32市町村、35事業で5億7,000万円余りの推進交付金を活用することとしております。 次に、成果につきましては、これまで実施した事業のうち、事業実施について目標値を設定し、成果の評価が終了している平成27年度の地方創生加速化交付金事業について申し上げますと、県事業、市町村事業ともに目標値を達成した項目は全体の約6割、目標値の7割以上を達成した項目も含めれば、全体の約8割となっております。 次に、課題については、県事業、市町村事業とも、設定した目標値の5割に満たなかった項目が1割程度見られたことが挙げられます。このため目標値の達成に向けて、PDCAサイクルによる検証や改善を行いながら、引き続き取り組みを進めているところであります。 あわせて、交付金の使い勝手として、年度途中に申請する新規事業については、交付決定までの数カ月間、事業に着手できずに十分な成果が出しにくいといった声があります。このため、交付決定手続の前倒しにつきまして、全国知事会を通じて国に要望したところであります。 次に、地方創生拠点整備交付金に関して、県及び県内市町村の活用状況や今後の展開、交付金の継続についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 まず、活用状況につきましては、県では、観光振興の拠点となる施設の整備など4件の事業が交付決定を受け、合計2億1,000万円余りの交付金を活用して事業を実施しております。 市町村では、観光やスポーツ振興の拠点となる施設の整備など12市町村で17件の事業が交付決定を受け、合計6億4,000万円余りの交付金を活用して事業を実施しております。 今後の地方創生に向けたハード整備としては、県、市町村ともに、地域の産業振興のための拠点施設や観光関連施設、さらには本県の強みである豊かな自然を生かしたスポーツやアクティビティの拠点施設などが予定をされております。 引き続き、県や市町村が積極的かつ継続的にこのような施設整備に取り組むことができるよう、地方創生拠点整備交付金を継続していただくことが必要であると考えておりまして、全国知事会を通じて国に要望したところでございます。 次に、超高速ブロードバンド未整備に対する所見と市町村への支援の状況についてのお尋ねがございました。 本県での光ファイバー等による超高速ブロードバンドの環境整備は、これまで市街地での民間事業者による自主的整備と、市町村による整備が行われてきましたが、県内の中山間地域においてはまだ未整備となっている地域が残っており、中山間地域の活性化や移住促進、産業振興のため、未整備地域の解消に向けて取り組む必要があると考えております。 このため、県といたしましては、市町村による整備に対する、県単独事業での補助の実施や過疎対策事業債の枠の確保などの財政的支援のほか、未整備地域が残る市町村を訪問し、国や県の支援策の説明や具体的な整備計画、工程表の策定に取り組むとともに、民間事業者と連絡調整をしたり、市町村と一緒に補助事業の採択を国に働きかけるなど、市町村への支援を強化しているところでございます。このような支援を通じ、今後の超高速ブロードバンド環境の整備を着実に推進してまいります。 次に、今後の財政状況の見通し、また大型のハード整備が続く中でも県債残高の減少は見込めるのかどうかとのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 県の財政運営においては、財政規律を維持しながら、県民サービスの確保と県財政の健全化を同時に実現することが重要でありますことから、本年度も、昨年度の決算状況や中期財政計画などの国の動向も踏まえ、平成35年度までの財政収支を試算いたしました。この試算に当たっては、今後の南海トラフ地震対策に必要な経費、増大する社会保障関係経費、建設中の新図書館等複合施設や県立高等学校再編に係る学校施設の整備費、今後事業を進めることとしている高知警察署や足摺海洋館などの整備費も見込んだところであります。その結果、これらの経費を見込んでもなお、財政調整的基金の残高を一定確保する見通しを立てることができました。 また、県債発行は、年度間の負担の平準化や世代間の公平性といった観点から、積極的に活用すべきものであることから、県債残高については、必ずしも低ければいいというものではなく、一定の健全な水準の範囲内で推移しているかどうかが重要であると考えております。今回の試算では、実質的な交付税である臨時財政対策債を除きますと、一時的にはふえますものの、平成33年度以降は減少していき、中期的には逓減傾向を維持できる見通しとなっているとともに、県債残高が全国的にも低い水準にあることから、健全性を維持できると考えております。 しかしながら、本県の財政運営は、地方交付税などに大きく依存しているほか、今回の試算では財政調整的基金の残高の水準が前回よりもやや下がっているということから、財政調整的基金の残高を確保しつつ、施策の有効性や効率性を高めるため、事務事業のスクラップ・アンド・ビルドをより徹底するなど、安定的な財政運営に努めていく必要があると考えております。 最後に、県内市町村の財政状況は改善傾向にあるが、この要因と今後の見通しについてお尋ねがありました。 平成28年度の実質公債費比率は、県内平均で、前年度と比較して0.5ポイント改善し10.9%となっております。この要因として、財政健全化のために、地方債の繰上償還や交付税措置率の低い地方債の発行を抑制したこと、また借入金利が低下したことなどによりまして、実質的な公債費が減少してきたことによるものと考えられます。 しかしながら近年、南海トラフ地震対策や地方創生の取り組みなど、各市町村が地域の課題に対応するため積極的に事業を行っていることもあり、県全体で地方債発行額が増加傾向にあります。今後、これらの地方債の償還が本格的に始まりますので、公債費が増加し、実質公債費比率が上昇する団体が出てくることも予想されます。 県としましては、各市町村において、引き続きさまざまな課題に対応するための事業を積極的に実施していただきたいと考えております。その際に、財政の健全性を損なうことなく、少ない負担で必要な事業を確実に実施できるよう、交付税措置率の高い有利な起債や国費の活用などを促してまいります。また、今後実質公債費比率の上昇が見込まれる団体には、堅実かつ緻密な収支見通しのもと、財政健全化に向けた具体的な対応策について助言を行ってまいりたいと考えております。   (林業振興・環境部長田所実君登壇) ◎林業振興・環境部長(田所実君) 林道整備に係る一連の御質問にお答えいたします。 まず、地元要望の強い林道整備を推進するため、地方創生道整備推進交付金を初め、さまざまな財政支援制度を活用できるよう、県としてもさらに市町村をサポートするべきではないかとのお尋ねがありました。 林道の整備を推進するために、議員のお話にありましたように、地方創生道整備推進交付金を初め、農山漁村地域整備交付金、森林環境保全整備事業補助金などの国の制度を活用しているところでございます。これらの制度を活用するには、市町村において、国の制度の目的、要件に応じた適切な計画の作成が必要となります。その計画の作成には専門的知識や分析が必要であることから、県として、林道の開設が可能な地形・地質条件や森林資源の分布状況の把握、効率的な林道の起点、終点及び線形の検討など、現地調査への同行も含め、初期の段階から事業採択に向けた市町村への支援を行っているところでございます。 また、毎年度の林道開設事業の実行段階において、市町村担当者が設計書を作成する際の工法などの設計内容に関する審査を行うほか、現地研修会への講師派遣などの支援も行っています。 林道の整備は、原木生産の拡大に向けた生産性の向上のために必要不可欠なものであることから、今後の新規路線の採択に向けた支援に加えて、早期に、かつ低コストで基幹的な林道整備が可能となる既設作業道の林道への格上げなど、これまで以上にしっかりと市町村を支援してまいります。 次に、林道路網に関する地方創生道整備推進交付金の活用状況と今後の展開についてお尋ねがありました。 地方創生道整備推進交付金を活用した林道整備につきましては、現在7市町村において実施されており、それぞれの5カ年間の計画事業量の合計は、開設事業が18キロメートル、改良・舗装事業が37キロメートルで、本年度末時点での実績はそれぞれ4キロメートルと20キロメートルになる見込みでございます。 今後につきましては、現在実施中の7市町村が事業を着実に推進できるよう、引き続き毎年度の工事段階における設計、工法などについて技術的支援をしていくとともに、地域の要望を踏まえながら、新規の事業採択に向けましても、現地調査への同行など初期段階からしっかりと支援し、林道の整備促進を図っていきたいと考えています。 次に、林道路網に関する協議会に地元の声を積極的に反映していくべきではないか、また林道路網に関する協議会を実施した手応えはどうだったかとのお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えします。 原木生産のさらなる拡大に向けて、高性能林業機械の導入や大型トラックの通行が可能となり、より生産性、効率性を高めることのできる林道、林業専用道等の路網整備を進めるため、市町村及び林業事業体、地元関係者などの声を積極的に取り入れることは重要であると考えています。このため、本年度の新たな取り組みとして、県下の5つの林業事務所ごとに、県、市町村及び林業事業体等を構成メンバーとする林道整備促進協議会を設置して、林道等路網の効果的な整備の促進に向けて協議することとし、本年6月から7月にかけて1回目の協議会を開催したところでございます。 これらの協議会では、事業体の方々から、大型トラックが走行できる基幹的な林道の整備や、林道と下方道の連携した整備の必要性などについて御意見をいただき、それぞれの地域が抱える課題の共有ができたところでございます。また、協議会の中で具体的な路線について提案があった場合は、その路線ごとにワーキンググループを設置して検討を進めていくこととしており、既に9路線のワーキンググループが立ち上がっております。 協議会の参加者からは、こういった場を望んでいた、これを機会に新たな林道整備を考えていきたいなどの声をいただいており、関係者の間で共通認識を持って林道整備を進めていこうとする意識の高まりを感じているところでございます。今後も、地域の声を積極的に取り入れながら、協議会の成果として新たな林道の整備につなげていけるよう取り組んでまいります。 最後に、地方創生道整備推進交付金の林道に対する内示率が低下していることへの対応、及び事業の継続と予算の確保に向けた取り組みについてお尋ねがありました。 地方創生道整備推進交付金は、本県の林道事業に係る国費の約半分を占めており、県内の林道整備を推進していく上で重要な財源となっていますが、議員のお話にありましたように、その内示率は年々低下してきております。このため、林道整備は原木の増産、安定供給に不可欠であり、林業の成長産業化、ひいては中山間地域の活性化、地方創生に欠かせないものであることを、国にしっかりと政策提言を行ってまいります。 加えて、林道整備促進協議会の取り組みを通じ、事業効果の高い計画を作成することにより、新規路線の採択を受けられるようにするなど、継続事業とあわせて必要な予算総額を確保できるように取り組んでまいります。   (観光振興部長伊藤博明君登壇) ◎観光振興部長(伊藤博明君) まず、四国八十八景プロジェクトにおいて、県内の隠れた名所が四国八十八景に選定されるよう、積極的に働きかけを行うべきではないかとのお尋ねがありました。 第3期産業振興計画の観光分野では、世界に通用する本物と出会える高知観光の実現を目指し、国際観光推進の施策を組み入れながら、観光資源の磨き上げによる観光地づくりや、効果的なセールスとプロモーション、そして受け入れ環境の整備などを柱にした取り組みを進めているところです。 お話のありました四国八十八景プロジェクトは、四国ブランドの観光商品をつくり、国内外へ売り込みを行うという考えのもと取り組まれていることから、本県の観光分野の取り組みの方向性とまさに合致するものと認識しております。特に、景観をゆったりと眺められる場所を新たな視点で発掘して磨き上げ、四国各地をめぐる観光商品をつくり出すことは、本県の強みである自然を生かした観光の魅力をさらに広げることになり、本県の周遊コース、いわゆる観光クラスターの形成に資するものと考えております。 こうしたことから、県内の各地域からできるだけ多くの申請が提出されるよう、本年4月には、県内全市町村、観光協会、広域観光組織を対象に開催した会議において、四国八十八景プロジェクトの事務局を務める四国地方整備局から事業概要の説明をしていただきましたし、県の地域支援企画員を通じて、広域観光組織や各施設管理者などに広く応募を呼びかけてまいりました。このような国とも連携した取り組みによりまして、県内からの申請も増加し、本年の4月から7月末までの第2期の審査対象数は61件と、昨年度第1期の30件から大幅な増加につながっているところです。 こうした中で、選定を行う国の実行委員会の現地視察において、選定委員から出された意見を施設の管理者と共有することで、施設においては選定を意識した対応事例もあらわれているところです。今後とも、国と密に連携する中で、有用な情報を施設管理者などと共有し改善につなげていただくなど、少しでも多くのスポットが選定されますよう積極的に取り組んでまいります。 次に、四国八十八景に選定されるように、県がどのように取り組むのかとのお尋ねがありました。 四国八十八景の要件としては、四国らしい風景と、それを眺める場所があることを満たすものとされており、眺める場所の管理者等からの応募に基づき、国の実行委員会が選定する仕組みとなっています。 まず、要件の1つ、四国らしい風景に関しては、変化に富んだ美しく個性ある自然や農山村の営みが織りなす原風景、厳しい自然と調和した町並み、お接待の文化といった、具体の内容が実行委員会から示されております。県内には、四国八十八景に第1期の募集で選定された宿毛湾のだるま夕日と咸陽島などのように、こうした要件にかなう風景が多数存在していると考えております。 また、要件の2つ目、その風景を眺める場所に関しては、誰でも利用できることが示されており、第1期の選定結果を見ると、自然公園内の展望台や民間の宿泊施設、河川敷など、多種多様な場所が四国らしい風景とあわせて選定されております。 今後、先ほど申し上げました第2期審査に臨む61件について、管理者である市町村等が、選定に向けて、これらの要件に合致するよう眺める場所の整備や磨き上げなどを行う場合には、国や県の支援策を活用して実施することが考えられます。県といたしましては、こうした支援策に対する助言や実行も含め、市町村や国などの関係機関ともしっかり連携し、選定を目指す取り組みをさまざまな面でサポートしてまいります。 次に、地元で小さく活動している事例が多く、地元で外貨を稼ぐ仕組みづくりを支援すべきではないかとのお尋ねがありました。 お話にありました地域の地道な取り組みが将来にわたり持続されるためには、訪れた観光客の皆様の滞在時間を延長し、消費を促すことで外貨を稼ぎ、地元に経済的な効果をもたらす仕組みづくりが必要であると考えております。このため県では、自然景勝地と宿泊、飲食、物販といった周辺の観光資源を組み合わせた地域観光クラスターの形成を進めてきたところです。 例えば、中津渓谷を核とした地域の観光クラスターを形成することで、観光客の皆様が、渓谷を散策した後、地元の温泉で体を癒やし、食事どころで四季折々の地元食材を使った料理を召し上がり、道の駅で沢渡茶や高糖度トマト等の土産物を購入していただくといった、より大きな経済効果をもたらすことができると考えられます。 こうしたクラスターを形成するには、個々の観光事業者の磨き上げとともに事業者間の連携が重要になりますので、県では、観光素材を磨き上げ、クラスターを学び、実践を企画する場として、土佐の観光創生塾を実施しております。創生塾では、座学やワークショップに加えて、専門スタッフであるコーディネーターを派遣して受講者の取り組みをきめ細かにサポートするとともに、受講生が中心となって、創生塾の成果をもとに、クラスターを実際に形成する際の財政的な支援事業も実施しております。 今後とも、地域地域での観光クラスターの形成に向けて、県の関係部局を初め、市町村や広域観光組織とも連携し、より多くの事業者の皆様が創生塾に参加することを促すとともに、観光クラスターの実績やイメージも積極的に情報発信しながら、地域が外貨を稼ぐ仕組みづくりを支援してまいります。 次に、四国八十八景プロジェクトが本格的に始動した場合に、博覧会などの実績ともあわせて相乗効果が期待できるが、県としてどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがありました。 四国八十八景プロジェクトの取り組みにより、四国八十八景というブランドが確立されれば、選定された景勝地や歴史資源などを含めた四国八十八景そのものが、観光目的になり得ると考えられます。このため県では、四国八十八景のブランドが確立された際に、新しい観光商品を求める旅行会社や観光客のニーズに応えられるよう、早い段階から、選定された景勝地などを、歴史を中心としたクラスターや地域の観光クラスターの形成要素に組み込み、磨き上げが進められるよう、先ほど御説明しました助言や財政支援、土佐の観光創生塾などの事業を活用し、関係市町村や事業者のサポートに取り組んでまいりたいと考えております。また、「志国高知 幕末維新博」のホームページや観光パンフレットなどにより、選定された県内の景勝地などとともに、四国八十八景という名称の情報発信にも取り組んでまいりたいと考えております。 今後もこうした考え方のもと、国内外からの観光客のさらなる誘客に向けて、四国八十八景プロジェクトと、幕末維新博など本県の観光地づくりの取り組みが相乗効果を発揮していけるよう積極的に取り組んでまいります。   (土木部長福田敬大君登壇) ◎土木部長(福田敬大君) まず、四国八十八景プロジェクトを支援するため、周辺のインフラ整備を進めるべきではないかとのお尋ねがございました。 お話にありました、四国八十八景プロジェクトなどの取り組みを支援し、観光客の誘致につなげるといった視点は、インフラ整備を進める上で重要な視点の一つであると認識をしております。 県では、インフラ整備に関する情報などを関係部局で共有し、インフラ整備の効率的、効果的な推進につなげることを目的として、本年度、高知県社会資本整備推進本部を立ち上げたところです。今月13日に開催いたしました第2回目の本部会議では、インフラを利用する側の部局からインフラ整備に対するニーズをお聞きしており、お話にありました中津渓谷周辺の道路や駐車場整備についても、ニーズが報告されております。 四国八十八景プロジェクトを支援するインフラの整備につきましては、本部会議で共有したニーズを参考にしますとともに、地域の観光振興を推進されている市町村や地元の皆様の声もお聞きしながら、今後もしっかりと取り組んでまいります。 次に、通学時に電停を利用する児童の安全対策についてお尋ねがございました。 県内の路面電車の電停の数は、上下線を合わせ全部で156カ所あり、車道から分離されて乗客が安全に乗りおりできる島状の電停と、乗客が車道から直接乗りおりする、いわゆるノーガード電停と呼ばれる電停が混在しております。 平成8年以降、ノーガード電停を解消するため、国では5カ所、県では9カ所の電停において、とさでん交通と連携し、電停における車道との分離を図ってまいりました。しかしながら、依然として25カ所のノーガード電停が存在しており、特に児童の安全性確保が課題となっております。これらの電停の多くは、周辺に人家が連檐するなどスペースがなく、車道との分離が困難な状況にございます。このため、電停の着色や電停を照らす照明の設置、また乗客が乗降中であることを知らせる表示板の設置など、各種の安全対策を実施しているところです。 今後も、引き続きとさでん交通や国と連携し、児童を初めとする電停利用者の安全性向上に努めてまいりたいと考えています。 次に、平成27年度に採択を受けた床上浸水対策特別緊急事業の進捗状況についてお尋ねがございました。 平成26年の台風による浸水被害を契機とし、いの町の宇治川と日高村の日下川における再度災害を防止するため、国、県、町村が一体となり、それぞれが取り組むべき浸水対策メニューを決定した上で、床上浸水対策特別緊急事業の新規採択を受けました。 まず、宇治川では、県が実施する対策として、平成27年度からの5年間で延長600メートルの河川改修工事を実施することとしております。これまでに、高知西バイパス周辺の護岸工事や、その上流の用地買収を進めており、平成29年度末の事業費ベースでの進捗率は約64%を見込んでおります。本年度は、引き続き用地買収を進めるとともに、上流の河道拡幅や護岸工事を進め、年度内には国道33号と交差する暗渠区間の改築工事にも着手する予定です。 国が実施する対策は、既存の宇治川排水機場において毎秒12トンのポンプを増設することとしており、平成30年度には完成見込みと聞いております。 いの町においては、昨年度より、床上事業の最終年となる平成31年度を目標として、2カ所の雨水ポンプ場整備や周辺水路の整備が下水道事業により実施されております。 次に、日下川では、県が実施する対策として、平成27年度からの6年間で、支川戸梶川を含む総延長6,450メートル区間の河川改修工事を実施することとしております。これまでに残土処理場の整備や日下川の護岸工事を進めており、平成29年度末の事業費ベースでの進捗率は約52%を見込んでおります。本年度は、引き続き残土処理場の整備や、日下川において河道拡幅や護岸工事を進める予定です。 国が実施する延長約5キロメートルの放水路については、これまでにルートや地質などの各種調査を終え、本年度は一部工事にも着手すると聞いております。 日高村では、本年度から平成31年度までの3カ年で、家屋のかさ上げや周囲の堤防整備などを行う予定であり、現在住民説明会などを実施していると聞いております。 今後も、国、いの町、日高村と連携の上、着実な予算化がなされるよう、国への政策提言も継続してまいります。 次に、土砂災害に備え、住民の避難を促すため、どのような取り組みを進めているのかとのお尋ねがございました。 県では、土砂災害から県民の命を守るため、従来からハード対策とソフト対策を一体的に推進してきております。その上で、ハード対策には多くの時間を要することから、まず第1に、県民の皆様に避難を促すソフト対策が重要と考えております。このため、県民の皆様に土砂災害の危険性に関する防災意識をより高めていただけるよう、土砂災害への備えに関する冊子や、土砂災害危険箇所などを示したマップを全戸配布しております。 また、雨量や土砂災害の危険度などの情報を、インターネットを通じて広く一般に提供する土砂災害監視システムを構築し、台風などの大雨の際、多くの県民の皆様に御利用いただいております。この土砂災害監視システムについては、近年の土砂災害の発生状況を踏まえ、平成28年3月に危険度判定基準を改定し、より実態に即した精度向上を図っております。 さらに、県では、警戒避難体制のさらなる充実強化に向け、土砂災害防止法に基づく基礎調査の取り組みを現在加速化しております。今後とも、よりきめ細かく、よりわかりやすい情報提供に努め、県民の皆様の避難を促す取り組みを推進してまいります。 次に、土砂災害に関して、地域地域の特性や災害履歴に応じた防災教育のあり方が求められると思うが、どのように対応すべきかとのお尋ねがございました。 土砂災害から県民の命を守るためには、幼少期からの土砂災害に関する防災教育はとても大切であり、県といたしましても、この取り組みを推進していくことが必要と考えております。また、御指摘のとおり、自然災害は地域によってさまざまな形態があることから、地域の特性に応じた防災教育の充実が重要と考えております。 県では、地域の特性に応じた防災教育の取り組みとして、子供たちが、いざという場合の対応方法を体験しながら学習できるよう、平成18年度から小学校に出向いて、こども防災キャンプを開催しております。このこども防災キャンプは、子供たちだけではなく、児童の御家族や地域住民の皆様にも御参加いただいており、地域に根づいた防災教育の場にもなっております。 このほか、小学校を対象に、県職員や砂防ボランティアなどの専門家を講師として派遣し、小学生が、自分の住んでいる場所をみずから歩き、危険な箇所を学びながら防災マップを作成する取り組みも行っております。平成27年度には、全国の防災マップコンクールにおいて、本山町の吉野小学校の児童が作成した防災マップが表彰されたところであり、高い評価を受けております。 引き続き、関係機関と連携・協力して、地域の特性に応じた学校での防災教育の充実に努めてまいります。 最後に、土砂災害に関する防災教育をどう磨き上げ、展開していくのかとのお尋ねがございました。 近年、我が国では、これまで経験したことのないような集中豪雨や巨大台風の襲来に伴って、自然災害が激甚化しております。さらに、台風などによる大雨だけでなく、近い将来発生が予測されます南海トラフ地震においても、強い揺れによる土砂災害が懸念されております。こうした状況の中で、住民の避難を促すための行政の取り組みに加え、県民一人一人が日ごろから防災意識を高め、自分の命は自分で守るという県民の主体性が一層重要と考えられます。 このため、防災教育の場においても、大雨や地震を初めとする各種災害や避難行動を想定した内容にするなど、県民の皆様が主体的に判断し、的確な避難行動をとることができるよう、さまざまな工夫を行ってきており、今後もこの磨き上げの努力を継続してまいります。 さらに、これらの防災教育で培ったノウハウを他の学校や関係機関へ提供することにより、学校などでの主体的な防災教育の取り組みを促進するとともに、地域においても防災教育が広く展開されるよう支援してまいります。   (警察本部長小柳誠二君登壇) ◎警察本部長(小柳誠二君) まず、登下校における児童の交通事故の状況と通学路の交通安全対策についてのお尋ねがございました。 平成19年から28年までの過去10年間で、県内で207人の小学生児童が登下校時の事故によりけがをしております。けがをした児童の事故時の状態は、歩行中が175人と最も多く、自転車乗車中が25人、四輪車同乗中が6人、二輪車同乗中が1人となっております。幸い、児童の交通死亡事故は発生しておりませんが、いまだ多くの児童が事故に遭い、重傷事故も発生しており、通学路の交通安全対策は、子供を交通事故から守る観点から非常に重要なものであると認識しております。 このような状況から、県警察では、通学路における児童の交通事故を防止するため、学校関係者、保護者、交通安全指導員等の交通ボランティア等とともに、登下校の時間帯に合わせて通学路における保護活動等を実施するとともに、小学校での交通安全教育を実施しております。また、毎月1回、通学路交通指導取り締まり強化日を指定し、通学路での交通指導取り締まりを強化しております。さらに、教育委員会、学校、道路管理者等とともに通学路の安全点検を実施し、危険箇所の把握や危険防止の対策を講じております。 県警察といたしましては、引き続き学校関係者、教育委員会、道路管理者等と連携しながら、ハード・ソフトの両面から通学路の交通安全の確保に努めてまいります。 次に、通学路の危険箇所の調査や点検と、その後の対応についてお尋ねがございました。 通学路の安全点検につきましては、平成24年に、登下校中の児童等の列に自動車が突入し、多数の死傷者が出るなど、通学路における重大な交通事故が全国的に連続して発生したことを受け、同年文部科学省、国土交通省、警察庁が協議し、全国において、教育委員会が主体となり、警察、道路管理者が連携して通学路の交通安全確保に向けた緊急合同点検が実施されました。本県においても、平成24年に緊急合同点検が実施され、同年8月までに点検を完了させております。 その緊急合同点検では、横断歩道の設置、一時停止といった交通規制の実施や道路標示の補修など、県警察において対策が必要とされた154カ所において、374の対策メニューを抽出し、その後順次対策を講じてきた結果、本年6月末をもって全ての対策を完了させたところでございます。 県警察では、こうした緊急合同点検のほか、各警察署単位で、学校関係者や道路管理者等と合同の通学路点検を実施しており、引き続き関係機関と連携して取り組んでまいりたいと考えております。 次に、通学路の調査や点検が地元の学校関係者等からの意見を取り入れたものになっているのかについてお尋ねがございました。 平成24年の緊急合同点検につきましては、教育委員会、警察、道路管理者、学校関係者が合同で実施したところでございます。また現在、各警察署単位で実施する通学路点検につきましても、緊急合同点検と同様、警察、道路管理者、学校関係者が合同で実施しており、それぞれの視点で、通学路における危険箇所や必要な安全対策等について課題を抽出し、対策を検討しているものであることから、地元の学校関係者や保護者からの意見を取り入れた対策が講じられているものと考えております。 次に、ゾーン30の児童の交通安全対策への有効性についてお尋ねがございました。 ゾーン30は、区域を定めて最高速度30キロメートル毎時の速度規制を実施するとともに、ハンプ等の物理的デバイスの設置を組み合わせることにより、生活道路における歩行者等の安全な通行を確保することを目的とした事業で、全国で、平成24年度から28年度までの5カ年間で約3,000カ所を整備することを目標に、事業が進められてまいりました。県内では、平成24年度にいの町枝川小学校周辺を指定したのを皮切りに、高知市横浜新町小学校周辺、安芸市安芸第一小学校周辺等の7地区、16区域を平成28年度までに整備したところでございます。また、本年度は、地域住民等からの要望を受け、高知市一ツ橋小学校東側のエリアを整備し、今月27日から運用を開始したところであります。 県内のゾーン30の多くが小学校周辺の区域に設定されているところでありますが、ゾーン30を整備することにより、区域内の交通量の抑制及び速度の抑制が期待できるほか、ドライバーの歩行者保護の意識向上も期待できることから、御指摘のとおり、ゾーン30は通学路の交通安全対策上有効であると考えております。 次に、保護者や地元の方々の評価についてお尋ねがございました。 ゾーン30の整備後、保護者や地元の方々からは、通り抜け車両が減少した、全体的に速度が下がっている、運転中に速度を意識するようになったという、好意的な意見をいただいているところでございます。 次に、ゾーン30の整備における事前の調査、地区住民との合意形成及び整備後の対応についてお尋ねがございました。 ゾーン30につきましては、生活道路を抜け道として通行する車両を抑制し、歩行者等の安全な通行を確保することを目的としております。したがって、整備に当たっては、区域内を抜け道として通過する車両の交通量や経路、通り抜けの要因等について調査を実施しております。また、周辺道路からの通行禁止規制や周辺道路の信号制御の見直しの検討も必要となることから、区域周辺の道路の交通量等についても調査を実施しているところでございます。 また、住民との合意形成でありますが、ゾーン30においては、通行禁止規制や路面に段差を設けるなど、物理的な対策も伴いますので、道路管理者と連携し、区域内の町内会等の会合において説明を行い、住民の合意形成を図っているほか、学校に対する説明を行い、学校を通じて保護者の合意形成をお願いするなどしているところでございます。 ゾーン30整備後につきましては、朝の通勤時間帯を中心に、交通ボランティア等と連携した街頭指導や、パトカー等による警ら活動を推進し、事業効果の維持・向上に努めているところであります。また、ハード面では、ゾーン30の路面標示の視認性を高めるための標示の拡幅や路側帯のカラー舗装など、道路管理者と連携して事業効果を高めるための追加の対策を講じているところでございます。 次に、ゾーン30の今後の整備や整備されていない住宅街等への対策についてお尋ねがございました。 さきに御説明しましたように、ゾーン30については、24年度から5カ年計画で進めてまいりました事業であり、昨年度で一応計画は終了いたしました。しかし、生活道路、通学路の安全対策上有効な事業でありますので、今後はゾーン30に対する地域住民の同意や財政的制約も十分に踏まえつつ、道路管理者等関係機関の御理解と御協力を得ながら整備を検討してまいりたいと考えております。 一方、整備が困難な地域につきましては、地域の皆様や道路管理者等と緊密な連携をとりながら、地域の実情にマッチした施策の検討や、学校関係者、交通安全指導員等の交通ボランティア等と連携した保護活動等により、安全・安心な交通環境の構築を目指してまいりたいと考えております。 最後に、ゾーン30をどのようにドライバーに周知し、啓発を図っているかについてお尋ねがございました。 ゾーン30の周知、啓発につきましては、ゾーン30の区域であることが容易に認知できるよう、ゾーンの出入り口の路面に標示を設置するなどしており、ドライバーや地域の方から非常にわかりやすいとの御意見をいただいているところでございます。 また、ゾーン30の周知を図るため、テレビや新聞報道等による広報に努めるとともに、自治体等の広報紙や県警察ホームページ等を活用した周知、啓発にも努めており、引き続き関係機関・団体等と連携し、ゾーン30の周知や啓発に努めてまいりたいと考えております。   (危機管理部長酒井浩一君登壇) ◎危機管理部長(酒井浩一君) 水防災意識社会の再構築について、まず市町村長が避難勧告や避難指示を的確に出すため、県としてどのような取り組みや支援を行っていくのかとのお尋ねがありました。 住民の皆様の命を守るためには、市町村が避難勧告などの情報をタイミングよく発令することが、大変重要と考えています。 県は、これまで市町村が適時適切な避難勧告などの発令を行うための取り組みや支援を行ってきております。具体的には、県が管理する河川の58カ所で氾濫危険水位などを設定し、発令の判断基準を明確にいたしております。 また、内閣府が示した、避難勧告等に関するガイドラインをもとに、市町村に避難勧告などを発令するためのマニュアルを作成していただくよう、担当者会や個別の協議により繰り返し働きかけを行い、おおむねの市町村でマニュアルを策定していただいておりますし、残りの市町村も策定を検討していただいています。 さらに、河川が増水により氾濫のおそれがある水位に近づいた場合や、土砂災害発生の危険度が高い土砂災害警戒情報が発表されそうなときには、市町村へ直接連絡し、避難勧告などの発令のアドバイスをしております。 近年、全国で、突発的かつ局地的な豪雨災害がたびたび発生しており、早期避難の重要性が改めて認識されているところです。他の都道府県での災害対応の教訓も参考にしながら、今後も引き続き、市町村が的確に避難勧告などを発令できるよう、取り組みや支援を行ってまいりたいと考えております。 次に、防災行政無線やエリアメールなどによる住民への連絡体制の強化についてお尋ねがございました。 大雨や台風などの災害時において、住民の皆様の命を守るために、避難を促すための情報を住民の皆様に迅速かつ確実に伝えることは、非常に重要なことだと考えています。 市町村においては、避難勧告などの避難を促す情報を、住民の皆様へ防災行政無線などにより一斉に伝えるとともに、携帯電話の緊急速報メールも活用するなど、さまざまな方法で情報を迅速かつ確実に伝達することに取り組んでおります。県としましては、防災行政無線が聞こえにくい地域に戸別受信機等を整備する場合の助成などにより、こうした市町村の取り組みを支援しております。 さらに、避難勧告などの災害に関する情報を、県、市町村と報道機関とで共有するシステム、Lアラートにより、マスメディアからも県民の皆様に避難勧告などの情報を伝えていただくことにしております。 一方、県民の皆様には、集中豪雨や土砂災害に対して日ごろから警戒感を持っていただき、早目早目の避難行動をとっていただくために、テレビやラジオ、インターネット等で気象情報などを確認していただく必要があります。県のホームページ、こうち防災情報において、気象情報を初め、河川の水位や土砂災害に関する情報など、災害に関するさまざまな情報を提供しております。 また、避難所までの移動が危険と感じる場合は、避難所には行かず自宅にとどまり、2階に上がることなどにより安全を確保することも、避難行動の一つであることの周知も行ってまいりたいと考えています。 今後とも、住民の皆様の避難行動を促すための取り組みを、市町村や報道機関と連携して進めてまいります。   (水産振興部長谷脇明君登壇) ◎水産振興部長(谷脇明君) 県内アユ資源の保護についてのお尋ねにお答えをいたします。 まず、県内におけるアユの漁獲量の減少についてお尋ねがございました。 高知市公設水産地方卸売市場、いわゆる弘化台の市場や西土佐鮎市場などでの県内産アユの取扱量は、市場での評価も高いことから近年は増加しており、平成27年度は前年度を25%上回る16トンとなっております。これに自家消費や直接地域の飲食店に販売されるものなどを加えた、県内全体のアユの漁獲量は、年変動はありますものの、近年は140トン前後でほぼ横ばいに推移をしております。このように漁獲量が伸び悩んでいる要因につきましては、生息環境の変化に伴う自然遡上量の変動や、お話にありましたブラックバスなどの外来魚やカワウによる食害に加えて、河川漁協組合員の減少、高齢化やレジャーの多様化に伴うアユ釣り人口の減少によるものと考えております。 議員のお話にありましたように、仁淀川や四万十川、まさしく各河川のシンボルと言えるアユでございます。また、本県の観光や食文化を支えてきたアユ、この減少傾向には何らかの歯どめをかけたいなという思いでございます。 次に、カワウと外来魚による被害やその対策、またカワウの被害に対する、行政機関や事業者を挙げた総合的かつ広域的な対策と支援についてのお尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えをさせていただきます。 ブラックバスなどの外来魚やカワウは、平成の初めころから、生息域の拡大と生息数の増大が確認されるとともに、アユなどの魚類への食害が全国的にも問題となっております。本県におきましても、こうした被害は増加傾向にありまして、アユ漁獲量が伸び悩んでいる要因の一つとして考えております。ちなみに、平成28年度のカワウによる県のアユなどの水産被害額が、推計で約600万円とされております。 このような食害に対処するため、県では、平成18年度から高知県内水面漁業協同組合連合会が行う報償金制度を核としたカワウや外来魚の駆除を支援しております。カワウにつきましては、県内10の河川で毎年600羽前後を駆除し、外来魚につきましては、7つの河川で毎年2万7,000尾前後を駆除しております。これらの取り組みにより、県内のカワウ生息数は近年減少傾向に転じておりますが、外来魚につきましては、依然として県内河川に多数が生息しているものと考えられますので、県としましては、引き続き高知県内水面漁業協同組合連合会のこうした駆除対策を支援してまいります。 特にカワウ対策につきましては、カワウも含めた鳥獣被害対策を、県の中山間対策の重要な課題として位置づけており、カワウが広域的に分布、移動することから、積極的に関係市町村などとも取り組みを進めるともに、関係9県と国で組織する中国四国カワウ広域協議会を中心に、全国的な対策についての情報収集及び各県との連携も図ってまいりたいと考えております。   (地域福祉部長門田純一君登壇) ◎地域福祉部長(門田純一君) 障害者差別解消法に基づき、県内自治体が策定する職員対応要領の策定状況と相談窓口の設置状況について、また策定、設置がされていない自治体に対する支援についてお尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えさせていただきます。 職員対応要領につきましては、県は、法の施行に合わせ、平成28年4月に県職員の対応要領を策定し、全職員が適切な対応ができるよう、新規採用職員研修などでの説明や全職員を対象としました研修会を開催しています。 また、市町村につきましては、全ての団体で策定していただくため、法施行前から、各市町村の障害福祉担当課だけでなく、総務・財政担当課長会など機会を捉えて説明、要請を行うとともに、国や県の対応要領を例としてお示しするなどの助言を行ってまいりましたが、現在策定済み団体は7市町村、本年度中の策定予定は5町にとどまっております。 県といたしましては、県内の全ての団体において対応要領を速やかに策定していただくため、引き続き資料や情報の提供、助言などの支援を行いますとともに、さまざまな機会を捉えて、市町村の幹部にも早期の策定を要請してまいります。 また、障害者差別解消に関する相談窓口は、県につきましては、障害保健福祉課と高知県社会福祉協議会に委託しております高知県高齢者・障害者権利擁護センターとしています。市町村におきましては、全市町村で設置をされており、その窓口は、人権に関することや学校現場での差別など、相談分野により複数の部署としている市町村もございますが、多くは障害者福祉を所管している部署になっています。 障害のある方がどこに相談すればよいかを明らかにするために、市町村に相談窓口のさらなる周知を要請いたしますとともに、県におきましてもホームページなどで、県の窓口にあわせまして市町村の窓口も広報してまいります。 次に、ヘルプマークの導入、推進に当たっての課題とその対応についてお尋ねがございました。 既にヘルプマークを導入しています12都府県では、議員のお話にもございましたように、県民の皆様への周知が導入後の課題であるとお聞きしています。また、近隣県が導入していない場合に、県境を越えて運行している公共交通機関での取り扱いに課題があり、広域的な連携が必要であるとの意見もございました。 県といたしましては、ヘルプマークを導入し推進していくためには、福祉関係の方だけでなく、広く一般の県民の皆様にマークの目的を理解していただくことが重要であると考えています。このため導入を検討する際には、県や市町村の広報紙への掲載やテレビ・ラジオ番組での広報、また車両へのステッカー表示などを公共交通機関の事業者に依頼することなど、効果的な周知方法についてもあわせて検討してまいります。 また、県を越えた広域的な連携を可能とするためには、近隣のヘルプマークが導入されていない県と一緒に検討を進めていく必要もあると考えております。 ヘルプマークは、障害のある人にとりまして、必要な支援が受けやすくなるための重要なツールであると考えておりますので、来年度中に導入できるよう、しっかりと検討してまいります。 ◆9番(横山文人君) それぞれに丁寧な御説明と御答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。 これで私の一切の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(浜田英宏君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明9月30日及び明後10月1日は休日でありますので、10月2日に会議を開くことといたします。 10月2日の議事日程は、一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後2時49分散会...